【私を支えた「この一冊」(54)】祖国とは国語

【私を支えた「この一冊」(54)】祖国とは国語
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 平成の中頃、学習指導要領改訂で、外国語活動が小学校教育に導入されると決まった頃のことである。文学的文章の詳細な読解に偏った国語の授業に批判が集まり、時間数が削減され、国語科教師として子どもたちに何をどのように教えるのか迷いが生じた。そんな時に出会ったのがこの本である。

 「国語教育絶対論」「国語はすべての知的活動の基礎である」「言語は思考した結果を表現する道具にとどまらない。言語を用いて思考するという面がある」

 これらの言葉から、国語科教師の道を選んだのは「全ての教科の基礎になるから」であったことを改めて思い出した。国語科教師としての矜持を保ち、自信をもって国語を教え続けることができたのは、この本のおかげである。

(小久保規与子・稲沢市立長岡小学校長)

藤原正彦著 新潮社
藤原正彦著 新潮社

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