部活動の「地域移行」から「地域展開」へ 中間とりまとめが今後の指針に

部活動の「地域移行」から「地域展開」へ 中間とりまとめが今後の指針に
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 愛知県教育委員会は、国の委託事業を実施し、愛知県内のスポーツ活動・文化芸術活動に関する「部活動の地域移行」に向けて、取り組んでいる。

取り組みの概要

・部活動の地域移行・地域連携の進め方に関するガイドラインの策定

・先行実施している他県の取り組み視察

・実証事業に参加している県内市町の視察・助言

・全市町村担当者による愛知県部活動の地域移行地域連携協議会の開催

・あいち地域クラブ活動人材バンクの設置

◇ ◇ ◇

 昨年の12月18日に「地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議」の中間とりまとめが発表された。強調されているポイントは、次の4つである。

○地域クラブ活動の推進

○教員の負担軽減

○多様な活動機会の提供

○地域社会の活性化

 この改革で部活動の在り方が大きく変わり、生徒がより豊かで多様な活動に参加できる環境の整備が期待されている。

実行会議の中間とりまとめの概要

1 改革の理念及び基本的な考え方

(1)改革の理念

◆改革の主目的は急激な少子化が進む中で、将来にわたって生徒が継続的にスポーツ・文化芸術活動に親しむ機会を確保・充実することである。

◆学校単位の部活動で行われてきたスポーツ・文化芸術活動を地域全体で関係者が連携して支え、生徒の豊かで幅広い活動機会を保障する。

◆生涯にわたり、スポーツや文化芸術と豊かに関わる力を身に付けることを含めたスポーツ・文化芸術の役割や意義を尊重する。

◆各地域でスポーツ・文化芸術施策を総合的に推進し、部活動改革も計画的に進められることを期待する。

(2)地域クラブ活動の在り方

◆地域クラブ活動では学校部活動が担ってきた教育的意義を継承・発展させつつ、新たな価値を創出する。

◆地域クラブ活動の具体的な実施形態や活動内容等は多様な形があり、地域の実情等にあった望ましい在り方を見出していくことが大切である。

◆民間のクラブチーム等との区別や質の担保等の観点から、地域クラブ活動の定義・要件や認定主体、認定方法等を国として示す必要がある。

(3)地域全体で連携して行う取り組みの名称(「地域移行」の名称変更等)

 改革の理念や地域クラブ活動の在り方等をより的確に表すため「地域移行」という名称は、「地域展開」に変更していく。

 コンセプトは、学校内で運営されてきた活動を広く地域に開き、地域全体で支えていくとともに、新たな価値を創出し、より豊かで幅広い活動を可能とすることである。

(4)改革を進めるに当たっての基本的な考え方

◆改革の理念等を幅広い関係者で共有しながら地域展開等に取り組む。

◆具体的手法は地域の実情等に応じ多様な選択肢を認める。

◆活動の場を増やし活動内容の質的向上も図る。

◆対面とデジタルを組み合わせる等、新たな手段も最大限活用する。

◆受益者負担と公的負担とのバランス等の費用負担の在り方を検討し、国・都道府県・市区町村が支え合いながら適切な支援を行う。

 

2 改革推進期間の成果と課題

◆2023年度から「改革推進期間」がスタートし、国の実証事業等を通じて地方公共団体による取り組みが着実に進んでいる。既に休日の地域展開を進めている地方公共団体等もあり、今後も更に改革が進捗(しんちょく)していく見込みがある。

◆地方公共団体の創意工夫により、地域の実情に応じた運営形態のモデルや指導者確保等の課題の解決に向けた方策等も見出されている。

◆改革途上にある地方公共団体等も多く、改革の歩みを止めず、より一層の改革を進めていくことが必要であり、国で実証事業等の成果と課題の整理・分析を行い、課題の解決方策等も明らかにし、広く普及していくことが重要である。

 

3 今後の改革の方向性

 地方公共団体が幅広い関係者の理解と協力の下、平日・休日を通した活動を包括的に企画・調整し、多様な選択肢の中から地域の実情等にあった望ましい在り方を見出し、改革の方針を決定することが重要である。

(1)改革の進め方

◆休日については、次期改革期間内に、原則、全ての学校部活動で地域展開の実現を目指す。

◆平日については、各種課題を解決しつつ更なる改革を推進する。まずは、国で地方公共団体が実現可能な活動の在り方や課題への対応策の検証等を行い、地方公共団体で地域の実情等に応じた取り組みを進める。

(2)次期改革期間

「改革実行期間」

(前期:26~28年度)→ 中間評価 →(後期:29~31年度)

(3)費用負担の在り方等

◆地方公共団体で受益者負担と公的負担とのバランス等の費用負担の在り方等を検討する。

◆公的負担は国・都道府県・市区町村で支え合う。

◆新たな財源の確保も有効に組み合わせていく。

◆経済的に困窮する世帯の生徒への支援は確実に措置を行う。

 

4 地方公共団体における推進体制の整備

◆地方公共団体で、専門部署の設置や総括コーディネーターの配置等、適切な推進体制を整備する。

◆都道府県が広域自治体のリーダーシップを発揮し、市区町村に対し必要な支援をきめ細かく行う。

◆一つの市区町村の対応が困難な場合には、複数の市区町村による広域連携の取り組みを進める。

 

5 学習指導要領における取り扱い

◆地域クラブ活動は継続的にスポーツ・文化芸術活動に親しむ機会を確保し、学校を含めた地域全体で生徒の望ましい成長を保障するものであり、地域クラブと学校との連携が大切である。

◆今後、休日を中心に、地域クラブ活動が広く普及・定着していることが見込まれる。一方で、当面は、平日を中心に学校部活動が存続する学校も一定程度ある。

◆地域クラブ活動の意義や地域展開の進捗等の実態を踏まえつつ、学習指導要領の次期改訂時に合わせて学校部活動と地域クラブ活動に関する記載の在り方を検討する。

◇ ◇ ◇

 今後、実行会議から「最終とりまとめ」が出され、国のガイドラインに沿い、各地域の実情に応じて地域展開をさらに進めていく。注視していきたい。

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