(読者の窓)命の学習

(読者の窓)命の学習
【協賛企画】
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 本校の特色ある取り組みの一つが命の学習です。毎年、学区にある清水牧場さんから子牛を1頭お借りして、5年生の子供たちが飼育体験を行っています。本年度、この活動が25年目ということと、小垣江東小でにこにこ過ごしてほしいという願いを込めて、子供たちが子牛の名前を「にこ」と名付けました。10月半ばから約1か月間、土日も含めて、子供たちは、清水牧場さんの「大切な家族を大切に育ててほしい」という思いを受け取り、にこのお世話を一生懸命行いました。初めの頃は、ぎこちなく、にこを怖がるような素振りも見られた当番活動でしたが、二度三度と経験を重ねるにつれて、随分素早く、また愛情を注ぎながらお世話ができるようになりました。ある児童は、「大きなうんちで今日も元気だね」と言いながら熱心に掃除をしていました。

 そんなある日、当番の子がハンカチを落とした際、そのハンカチをにこが飲み込んでしまいました。にこの体調は大丈夫なのか、命に別状はないのか、子供たちはとても心配しました。幸いなことに、翌日、にこがハンカチを吐き出したことを知り、子供たちは安堵で胸をなでおろしました。

 11月半ばのにこの卒業式。お別れの時を迎えた軽トラック上のにこに、涙を流しながら見えなくなるまで手を振る子供たちの姿が印象的でした。

 仲間と共に、命の大切さを学んだこの貴重な体験は、子供たちにとって生涯忘れることのできない意義深いものになったと思っています。

(浅田敏宏・刈谷市立小垣江東小学校長)

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