幡豆っ子は「交通事故ゼロ」「もくもく・みっちりそうじ」などの児童会・委員会活動に、夢中になって取り組んでいる。そして、その過程や成果を誇りに感じて「幡豆小プライド」と呼んでいる。しかし、学習の場面でこの言葉を用いる子供はあまり見られなかった。そこで、幡豆小生がもつ「よさ」と、「ふるさと幡豆の特色」を生かした「夢中単元」を構想することで、幡豆っ子が夢中になって学び、学習の場面でも幡豆小プライドを育みたいと考え、前記の研究主題を設定した。
「夢中単元」での授業を展開していく上で、次の(1)~(3)を手だてとした。なお、本研究では、子供たちが解決に向かって突き進むための原動力を「夢中の火」と表現する。
(1)夢中の火を灯す「人・もの・こと」との出会い
(2)夢中の火をさらに大きくする仕掛け(ゲストティーチャーの活用など)
(3)夢中の火をつなぐ振り返り
ここからは各手だてを用いた実践を紹介する。((1)~(3)は前述の手だてに該当する)
(1)3年理科「つなげて、光って、輪ンダフル!―電気の通り道―」
「イライラ棒」の仕組み解明を通して、電気の性質について学習した。単元の導入で、子供たちがさまざまなイライラ棒にどっぷり浸る時間を確保したことで、子供たちはイライラ棒の仕組みに疑問を抱き、自ら学習課題を立ててその謎を解明したいという夢中の火を灯すことができた。
(2)2年生活科「見つけた!生き物博士大集合―生きものはっけん―」
子供たちは、お気に入りの生き物を順調に飼育していると思っていたが、ある日、ゲストティーチャーから飼育方法について指摘を受けたことで、自分たちの不十分さに気付き、飼育方法を見直したり、生き物について調べたりする必要性を実感した。そこで、竹島水族館に出かけて正しい飼育方法や特徴を知り、生き物博士になりたいという夢中の火をさらに大きくすることができた。
(3)5年外国語科「These are our teachers!―Who is this?」
英語で幡豆小学校の先生紹介にチャレンジした。振り返りに「区分表(縦軸:英語力、横軸:グッドスピーカー」)を活用した。本時を通して、自分の紹介レベルはどの位置まで到達したかを区分表に示し、到達度を可視化することで、自分は何ができていて、次は何ができるようにならないといけないかを常に自覚でき、単元を通して夢中の火をつなぐことができた。
本校は、「できないこと、足りないことを補う」研究ではなく、「できること、よい面をさらに伸ばす」研究にこだわってきた。子供たちの「よさ」や「幡豆の特色」を生かした夢中単元を構想したことで、子供たちが、学習面でも夢中になって学ぶ姿が増え、育まれた幡豆小プライドが学校生活全体に波及していくという好循環が見られた。今後も、職員が一丸となって、子供たちの幡豆小プライドを育んでいくことで、自分に「イエス」を出せる幡豆っ子を育て、本研究を真の意味で「持続可能な研究」にしていきたい。
(文責・杉浦郁子校長、執筆・神谷祐輔研究主任)