本研究においては、ものづくりをしながら試行錯誤させる中で、プログラミング的思考とプログラミングスキルを養わせ、ものづくりの楽しさを実感できる児童の育成を目指して取り組んだ。
【第1次】マイクロビットの基本操作や作れるものを知る。
まずは、マイクロビットのアプリを活用した。プログラミングとはルールに従ってコンピュータに命令を送ることであるということを体験を通して感じていた。
【第2次】自分の生活の中での課題を見つける。
普段の生活の中での課題を考えた。児童からは「姿勢が悪い」「静かな環境でゲームがしたい」などといった課題が出てきた。自分の課題を解決してほしいと命令しただけではコンピュータには伝わらない。そこで行うのが課題の分解である。例えば「静かな環境でゲームがしたい」という課題を設定した児童Aであれば、それがどういう状態を表すのかを考えさせた。児童Aにとって静かな環境とは「周りの音の大きさが10より下くらい」であった。そこで、児童Aは、大きな音が入ってきたときに音で知らせてくれる道具を作るという目標を設定していた。また、全員が外部講師との面談をする機会を設け、児童の課題がより具体的になるように一緒に課題を分解した。
【第3次】自分の課題を解決できるような道具を作る。
自分が書いた課題分解図を参考にし、マイクロビットを使った道具作りに入った。
友達のプログラムを参考にして作る児童、自分から友達にプログラムの組み方を聞いて作る児童、一人で黙々と作業を進めていく児童など、様々な試行錯誤を経て、ものづくりに取り組んでいた。
【第4次】自分が作った道具を全体で発表し、共有する。
自分の作ったものを発表会形式でプレゼンテーションを行った。さまざまなマイクロビットの活用の仕方を発表することができた。
今回はただプログラムを組むだけではなく、自分で生活上の課題を見つけて、その課題を分解しながら計画を立てるプログラミング的思考を育むことに力を入れた。自分の生活の中から課題を見つけることで、自ら進んで取り組む活動にすることができたと考えられる。また、課題を細かく分解することで、上手くプログラムが組めなかった際の見直しができるツールとなった。
さらに、全体での発表の機会を設けたことで、とても満足そうにしている児童の表情があり、ものづくりの楽しさを十分に実感することができたと考えられる。
今後の課題として、具体的な課題をプログラムの中で命令や数値として組み合わせて、順序立てて事象(動作)とするには、慣れや経験が必要とされる。今回の実践より子どもたちの身近な事象をプログラミングの対象として、さらにものづくりの楽しさを実感させたい。
(文責・赤根進治校長、執筆者・桑山晃司教務主任)