(読者の窓)大好きな本

(読者の窓)大好きな本
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 4年間の中学校勤務の後、初めて小学1年生を担任し戸惑っていたとき、絵本の読み聞かせを知りました。大人になってすっかり子供の心を忘れていた自分は絵本を読むことで子供の心を思い出しました。『ぐりとぐら』のシリーズは、子供たちに好評で、よく読みました。

 そんな時、子供の頃、大好きだった本『いやいやえん』を図書館で見つけました。作者が『ぐりとぐら』と同じ中川李枝子さんであることに気づき驚きました。小学生になり文字のたくさん書いてある本が読めるようになったときに出会った本が『いやいやえん』でした。とても気に入って、読み終えると、また借りて、図書貸し出しカードには、『いやいやえん』と何度も書きました。

 幼い頃の私は「保育園に行くのは、嫌だなあ。給食は食べたことのないものがいっぱい出てくるし、いじわるな子もいるし、先生は命令ばっかりするし」なんて思っていました。親が行きなさいというから、仕方なく嫌々行っていました。小学校もあんまり好きではなかったです。『いやいやえん』には、自分と同じようにいやだいやだと駄々をこねる子が出てきて、それが面白く、共感して何度も読んだのでしょう。面白いと思う本に出会えて、本が好きになりました。そのうちに、色んなことに興味を持ちだし、いつの間にか学校が楽しくなっていました。

 昨年10月に中川李枝子さんの訃報を知りました。書店に中川さんの著書『本・子ども・絵本』があり、思わず購入して読みました。「本は子供に人生への希望と自信を与える」中川さんの言葉に、私自身の経験が重なりました。

(内橋貴代・田原市立清田小学校長)

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