東京都教育委員会は4月1日、都立高校や都立特別支援学校の教諭などに採用された1060人に対し、辞令を交付する「入都式」を東京都台東区の東京文化会館で行った。坂本雅彦教育長は「子どもの学びの伴走者となり、デジタルとリアルを融合した学習者中心の新たな教育スタイルのもと、誰一人取り残さず、全ての子どもが将来への希望を持ち、自ら伸び、育つ教育を実現していこう」と述べた。辞令交付の代表者である都立北豊島工科高校の柴田寧々教諭は「子どもたちと言葉を交わしてコミュニケーションを取り、子どもたちが何事にも挑戦できるような環境をつくっていきたい」と抱負を述べた。
入都式には、4月1日付で都立学校に採用された教諭、養護教諭、実習助手、寄宿舎指導員ら1060人が一堂に会した。
代表による辞令の交付や宣誓の後、坂本教育長は「今日から教職への道を歩み始めた皆さんには、教育に対する熱意や使命感を持ち、自らの職責を果たすことができる教員になってほしい」と期待を寄せた。
そして、そのために心に刻んでほしいこととして、子どもに対する深い愛情を持つこと、人との良好なコミュニケーションを築いていくこと、常に学び続ける意欲を持つことの3つを示した。
また、強くお願いしたいこととして、体罰や不適切な指導、性暴力などの重大な服務事故は子どもたちの心に大きな傷を与え、学校教育への信頼を著しくおとしめる行為だと指摘し、「困難に直面したり、うまくいかなかったりしたときは、一人で抱え込まずに同僚や先輩、管理職など周りの人や相談窓口を利用し、助言や支援を受けてほしい」と呼び掛けた。
代表して宣誓を行った都立武蔵台学園の関野稜大(りょうた)教諭は、中学生の頃から教員になりたい夢を持っていた。「この日を迎えるまでに、さまざまな方の支えがあった。そういう方たちへの感謝の気持ちを持って、教員生活を過ごしていきたい」と述べ、「特別支援学校に配属され、個に応じた指導が特に必要になってくるが、子どもたちの個性を受け入れ、一人一人に愛情を持って、全力で汗をかいて向き合っていく」と決意を語った。
また、柴田教諭は「自分自身が学習に対して少しつまずきがあったが、そこを支えてくれた先生たちがいた。私も何かできることがあるのではないか」と教員を志した理由を話し、「SNSなどの台頭で、直接言葉を交わす機会が減っている。子どもたちや同僚の先生方、保護者と言葉を交わしてコミュニケーションを取り、つながりを強く持って頑張っていきたい」と力を込めた。