総合型選抜や英語民間試験の活用進む 24年の大学入試実態調査

総合型選抜や英語民間試験の活用進む 24年の大学入試実態調査
iStock.com/stevegeer
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 2024年春に行われた大学入試では、一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜のうち、国立大学を中心に総合型選抜の割合が増えたことが、文部科学省が4月1日に公表した「2024年度大学入学者選抜実態調査」結果で分かった。また大学全体で見ると、英語力を総合的に評価する視点から英語資格・検定試験の活用が増加する傾向も見られた。同省は「急激な変化はないが、学力のみでなく多面的に受験生を評価しようという観点から総合型選抜の導入が進んでいると考えられる」としている。

 調査は、大学入試の実態を把握するために国内の全大学・短大(計1069校)を対象に、昨年7月16日から8月30日にかけて実施された。回答率は100%。

 大学入試の選抜方法の大半を占める一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜の3つに絞って実施状況を分析したところ、国公私を合わせた大学全体では一般選抜が47.1%(前年度より1.8ポイント減)と減少した一方、総合型選抜が22.2%(同1.6ポイント増)、学校推薦型選抜が30.7%(同0.2ポイント増)となり、総合型選抜の割合がやや増加した。

 大学別に選抜方法の実施状況の変化を見ると(=グラフ①)、国立大学では一般50.8%(同6.2ポイント減)、総合型22.3%(同3.0ポイント増)、学校推薦型26.9%(同3.2ポイント増)。公立大学では一般48.5%(同3.4ポイント減)、総合型9.4%(前年度から変化なし)、学校推薦型42.1%(同3.5ポイント増)。私立大学では一般46.7%(同1.3ポイント減)、総合型22.6%(同1.5ポイント増)、学校推薦型30.7%(同0.2ポイント減)となり、特に国立大学で一般選抜が減少して総合型選抜、学校推薦型選抜が増える傾向が目立った。

 また、英語資格・検定試験の活用が進んでいる実態も明らかになった。選抜方法別に見ると、一般選抜で28.1%(同3.0ポイント増)、総合型選抜で34.1%(同0.5ポイント増)、学校推薦型選抜で27.1%(同0.3ポイント増)と、いずれも増加が見られた。

 このうち最も数の多い一般選抜に絞って国公私立大学別に活用状況を見ると(=グラフ②)、国立大学13.3%(同1.9ポイント減)、公立大学1.8%(同0.5ポイント増)、私立大学30.4%(同3.2ポイント増)と私立大学で3割を超えているのに対し、国公立では活用が進んでいない状況も伺えた。ただし、総合型選抜では前年度から引き続き3割~4割で活用が見られ、国立大学40.2%(同5.6ポイント増)、公立大学31.6%(同0.7ポイント減)、私立大学33.6%(同0.1ポイント増)となった。

 文科省によると、英語力の評価を巡っては、4技能の「聞く」「読む」「話す」「書く」のうち個別選抜では「話す」の評価が難しいことなどから、全体的に英語資格・検定試験を活用する動きは増加傾向が続いているという。

 さらに一般選抜で共通テストを利用して合否判定している選抜区分を調べたところ、国立大学96.2%(同2.9ポイント増)、公立大学で98.5%(同1.8ポイント増)と微増した一方、私立大学では44.5%(同0.6ポイント減)と微減した。国立大学と公立大学では7科目、私立大学では2・3科目の利用が多かった。

 文科省は今回の結果について、「全体的に急激な増減は見られないが、学力だけでなく総合的・多面的に受験生を評価しようと、総合型選抜の導入が増える傾向が続いていると考えられる。また、英語資格・検定試験の活用が増加傾向にあることで、受験生にとっては英語力を示す機会が増えるメリットになるのではないか」としている。

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