今国会で審議入りした公立学校の教員の処遇改善などを盛り込んだ給特法改正案について、全日本教職員組合(全教)は4月11日、文部科学省で記者会見を開き、廃案を求めた。法案では処遇改善策の一つに学級担任への手当の加算が入っているが、特別支援学校や特別支援学級の担任は加算の対象ではないことなどについて、金井裕子書記長は「極めて差別的な処遇改善だ」と批判した。
法案では教員の処遇改善策として、給特法で現行で給料月額の4%が支給されている教職調整額を段階的に10%に引き上げることとしているが、教職調整額については、幼稚園教諭は、子ども・子育て支援新制度の枠組みで処遇改善に向けた財政措置が行われていることを踏まえ、4%のまま据え置きとされ、指導改善研修を受けている教員には支給しないとしている。
また、法案では一律に支給されている義務教育等教員特別手当を、校務類型に応じて支給することとし、その困難性などを考慮して条例で支給額を定めることも盛り込んでいる。具体的には学級担任の手当を加算することを想定している。
しかし、特別支援学校や特別支援学級の担任はその対象に入っておらず、来年度以降、特別支援教育に関わる給料の調整額の削減が検討されている。
金井書記長は「障害のある子どもたちは重度化・多様化しており、特別支援教育における専門性は高まるばかりだ。給料の調整額を削減する合理的な理由はない。学級担任の手当のことを含め、極めて差別的な処遇改善だ」と語気を強めた。
全教では、4月10日に審議入りした給特法などの改正法案は、実質的な長時間労働の改善や教職員不足の解消にはつながらないと主張。新たに創設される「主務教諭」によって教職員の序列化・階層化が一層進み、職場を分断するとして、法案は廃案にすべきという立場を示している。
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給特法 公立学校の教員の職務や勤務の特殊性に基づき、給料や労働条件の特例を定めている法律。この法律によって、公立学校の教員には給料に教職調整額を上乗せして支給する代わりに、時間外勤務手当(残業代)は支払わないとされ、長時間労働に歯止めがかからない一因になっているという指摘がある。