2026年度からの私立高校の授業料無償化に向けた協議が進む中、全国知事会文教・スポーツ常任委員会の委員長を務める愛知県の大村秀章知事が4月23日、文部科学省を訪れ、定員割れの広がりなどが懸念される公立高校への支援拡充などを求める緊急提言を、阿部俊子文科相に渡した。阿部文科相は「全国知事会や都道府県と連携して、しっかり取り組みたい」など応じたという。
高校無償化を巡っては、自民党と公明党、日本維新の会の協議で、26年度から私立高校の就学支援金について所得制限をなくして、上限額を45万7000円に引き上げることで合意されており、現在、制度設計が進められている。
これを踏まえて緊急提言では、具体的な制度づくりに向けて、▽公立高校への支援の抜本的な拡充を含む教育の質確保▽私立高校への加算額の適切な算出や合理性のない値上げを抑える仕組み検討▽就学支援金の申請・支給方法などの手続き簡素化▽安定財源の確保▽中学生や保護者が安心して進路選択できるための早期周知――の5点について要望した。
文科相との面会後、大村知事は「高校無償化については教育の負担軽減の観点からトータルとして歓迎しているが、来年から実施となると、夏ごろには制度の枠組みを示さないと子どもたちの選択の指針にならない。できるだけ早く、きめ細かく制度を周知してほしいと申し上げた」と述べ、早期の制度づくりを求めたことを明らかにした。これに対し阿部文科相は「スケジュール感は共有しているので、しっかり取り組んでいく」と述べたという。
また、大村知事は全国知事会の中で、公立高校離れや工業、農業など専門高校の定員割れが進むことを懸念する声が強かったことに触れて、「特に専門高校は機械など、いろいろな設備が必要でコストがかかる。専門高校離れを防ぐためにも、施設整備や財政面での支援をお願いしたいと申し上げた」と述べた。
これに対して阿部文科相は、産業界と高校教育との伴走型の支援を進めていきたいとの考えを示し、都道府県と相談しながら民間人材の活用についても考えたいと述べたという。