教員の負担軽減に向け、学校現場に配る文書を半減させるプロジェクトを行う山梨県教育委員会はこのほど、2024年度の取り組み結果を公表した。昨年度の1年間に県内の学校現場に送ることが想定されていた文書1731件のうち、実際に送付したのは833件と、「半減」を達成したことが明らかになった。山梨県教委は、文書を出す担当者に削減の意識が浸透したことや、会議のたびに送付していた開催通知を一度にまとめるなどの工夫が削減につながったとしている。
プロジェクトは学校の働き方改革の推進を目指し、23年4月から開始。国や県などが学校に出す文書を山梨県教委が精査し、あらかじめ「送付する」「送付しない」「内容に応じて共有・活用できるようにする」の3つに分類。法定研修や児童生徒の健康安全に関する内容をはじめ「共有・対応の必要性が高いもの」に限り送付し、研修の案内などはインターネット上に保管、必要に応じて閲覧できるよう各学校で共有・活用。目的別に再構築し、学校現場が分かりやすく受け取れるよう工夫した。また、会議の度に送付していた開催通知は統合し、教員の事務負担の軽減を図った。
これらの取り組みによって、文書処理に費やした1週間当たりの時間数は減少。プロジェクト開始から間もない23年5月と24年2月時点を比較すると、教頭は3時間(28.8%)、事務職員は4.67時間(36.8%)を削減できたとしている。
24年度の取り組み結果を見ると、24年度の1年間に県内の公立小中高校などへの送付が想定されていた文書1731件のうち、送付したのは833件、送付しなかったのは898件で51.9%の削減となり、文書の「半減」を達成した。
校種別では、24年度に小中学校で送付が想定されていた文書755件のうち、送付した274件に対し、送付しなかったのは481件で全体の63.7%を占めた。一方、高校などの県立学校では文書976件中、送付したのは559件、送付しなかったのは417件で、送付した割合の方が高かった。
これらの結果を受け山梨県教委の担当者は「プロジェクト開始から2年を経たことに加え、知事や教育長、メディアによる周知もあり、文書削減に対する意識が広がってきた」と分析。プロジェクトは今後も継続するとした上で、「取り組み内容の改善点など学校現場の細かな声を収集できていない。学校現場の声を拾いながら、半減という数字にこだわるのではなく、県と学校の双方にとってより良いものになるよう目指していきたい」と意気込んだ。