ギャンブル依存症「大学生の相談急増」 高校での啓発求める声も

ギャンブル依存症「大学生の相談急増」 高校での啓発求める声も
街頭で啓発グッズを配布するギャンブル依存症問題を考える会のメンバー=撮影:水野拓昌
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 国が定めたギャンブル等依存症問題啓発週間初日の5月14日、依存症当事者や家族を支援する「ギャンブル依存症問題を考える会」は、全国18カ所で啓発活動を実施した。同会の田中紀子代表は「ギャンブル依存症は若年化が進み、大学生の相談が急増している」と指摘し、大学での予防教育強化だけでなく、高校の段階で依存症のリスクを啓発する必要性を訴える。同会は若者をターゲットとする公営ギャンブルの広告、販促活動を抑制、規制するよう求めている。

 啓発週間はギャンブル等依存症対策基本法に定められた5月14~20日。東京都墨田区のJR錦糸町駅南口では14日夕、依存症当事者の家族や支援者ら約20人が啓発活動に参加し、冊子やウェットティッシュといった啓発グッズを配布した。

 また、同会は啓発週間に合わせ、相談に来た依存症当事者や家族を対象としたアンケートの結果を5月8日に公表した。

 公営ギャンブルでは20歳未満は投票券を購入できないが、同会に相談に来る10代は増えている。2022年まで10代の相談者は1~2人程度だったが、23年は3人、24年は6人、25年も3月までに1人と、割合は低いものの懸念される状況だ。

 20代は22年以降、100人を超え、全体の30%以上を占めるようになった。30代と並んで最も多い年代となり、25年は3月までで40%と、若年化の傾向は進んでいる。大学生が占める割合も24年までは5%以下だったが、25年は3月までで8.9%と急増している。

 また、公営競技のオンライン投票にのめり込んだ193人を対象にしたアンケートでは、のめり込んだ理由(複数回答可)として、①早朝から深夜までレースがある 140人②会員登録が非常に簡単 102人③クレジットカードで入金できた 96人③キャリア決済、電子マネー、ポイントで支払えた 96人⑤解約後、すぐ再入会できた 74人――という順に多かった。

 こうした結果から同会は、競艇、競輪、オートレースといった公営競技で「モーニング」や「ミッドナイト」のレースが設定され、スマートフォンなどで1日中投票できる状態が若者の依存症リスクを増大させていると指摘する。

 また、違法賭博であるにもかかわらず、インターネットを使ってゲーム感覚でプレーできるオンラインカジノは、若者がギャンブルに足を踏み入れるきっかけとなりやすい。

 自民党、公明党、立憲民主党によるギャンブル等依存症対策基本法改正案では、オンラインカジノサイトの開設や誘導する広告、SNSでの発信が禁止される。罰則規定はないが、プロバイダーやサイト管理者への削除依頼、警察への通報をしやすくする狙いがある。3党は今国会での法案提出、成立を目指している。

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