一部の公立幼稚園教諭に教職調整額不支給 文科省が把握へ

一部の公立幼稚園教諭に教職調整額不支給 文科省が把握へ
教職調整額が支給されていない公立幼稚園教諭の問題について話す阿部文科相=撮影:藤井孝良
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 公立幼稚園の教諭に対し、一部の自治体で教職調整額が支給されていない実態があることについて、阿部俊子文科相は5月16日の閣議後会見で、国会での答弁を踏まえ「今後、教職調整額も含め、公立の幼稚園の教諭等の給与の状況について把握していきたい」と述べた。これまで支給されていなかった教職調整額を請求できる可能性については条例の規定によるため、「一概に答えることは困難」とした。

 給特法では、公立学校の教員は給料に教職調整額を上乗せして支給することや、時間外勤務手当(残業代)は支払わないことを定めている。この公立学校には、小学校、中学校、高校、特別支援学校をはじめ、市町村立の公立幼稚園も対象となっている。

 この問題を巡っては、5月9日の衆院文部科学委員会で立憲民主党の川内博史議員が、公立幼稚園の教諭に教職調整額が支給されていない自治体があると指摘。

 文部科学省初等中等教育局の望月禎局長は「全国的な調査は行っておらず、個別に聞いているものもだが、一部の自治体においては川内委員の指摘の通り、公立幼稚園の教員に対して教職調整額を支給していない実態があると承知している。これについては文部科学省として、適切な措置を講じるよう通知するなどの指導助言を行ってきている」と答弁している。

 実際に文科省では、2007年7月31日付の学校教育法の一部改正に関する通知で、給特法によって幼稚園教員、実習助手、寄宿舎指導員に対して教職調整額を支給しなければならないことに触れた上で、「各都道府県においては、設置する学校の幼稚園教員について上記の給与上の措置を適切に講ずるとともに、給与上これらの措置が講じられていない市町村に対して、幼稚園教員の給与制度に則り、十分な指導をされたいこと」と示している。

 閣議後会見で阿部文科相は「文科省としては、自治体に対し公立幼稚園の教諭等の給与について、適切な措置を講じるよう通知をするなど、指導・助言も行っているが、今後、教職調整額も含め、公立の幼稚園の教諭等の給与の状況について把握していきたい」と述べた。

 また、こうしたケースについて、これまで支給されていなかった教職調整額をさかのぼって請求することができるかについては、「公立幼稚園の教諭も含め、地方公務員の給与においては、地方公務員法に基づいて条例で定められているものであるので、一概にお答えすることは困難だ」と語った。

 文科省の担当者は「例えば、条例に『支給するものとする』と書いてあるのに支給していなかったのであれば、それは当然、条例違反なので、財産権の請求権がある。そもそも条例で書かれていないと、また違ってくる。条例がどういう形になっているかによる」と説明している。

 

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教職調整額 教職の勤務の特殊性を踏まえ、公立学校の教員に支給される。従来は給料月額の4%とされていたが、2024年12月に文部科学省と財務省が合意し、段階的に10%まで引き上げる方針が決まった。公立幼稚園教諭は子ども・子育て支援新制度の枠組みで処遇改善が行われることから、4%に据え置かれる。

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