小学生の朝の居場所、実施・検討自治体3.1% 保護者は3割が希望

小学生の朝の居場所、実施・検討自治体3.1% 保護者は3割が希望
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 平日の朝のこどもの居場所の必要性が顕在化する中、こども家庭庁はこのほど、小学生の朝の居場所に関するアンケート調査の結果を公表した。それによると、すでに小学生の朝の居場所づくりに取り組んでいる自治体は1.4%、「実施に向けて検討中」と答えた自治体は1.7%だった。一方、学校がある日の朝に自宅以外の居場所の利用を希望するか保護者に聞いたところ、約3割が「利用したい」と回答している。

 こども家庭庁は2024年9月から25年3月にかけて、全国の市区町村の自治体や全国の小学1年生から6年生の子どもを持つ共働き家庭(ひとり親も含む)の保護者などを対象に、小学校の長期休業中におけるこどもの居場所に関する調査を実施。その中で、平日の朝のこどもの居場所についても実態把握を行った。市区町村自治体の有効回答数は1017件、保護者の有効回答数は3708件だった。

 市区町村自治体に平日(学校がある期間)の朝のこどもの居場所確保に向けた施策の有無について聞いたところ、「実施している」が1.4%(14自治体)、「実施に向けて検討中」が1.7%(17自治体)、「実施していない(未検討)」が96.7%(983自治体)だった。

 続いて、「実施している」または「実施に向けて検討中」と回答した31自治体に、その実施場所を尋ねたところ、「放課後児童クラブ以外(学校敷地内)」が最も多く16自治体、「放課後児童クラブ以外(学校敷地外)」が8自治体、「放課後児童クラブ内(学校敷地内)」が7自治体と続いた。その実施主体は、「自治体で放課後児童クラブを運営する事業者」が8自治体、「シルバー人材センター」が7自治体、「地域住民・団体」が5自治体だった。

 また、「実施していない」「実施に向けて検討中」と回答した1000自治体に、実施に当たっての課題を聞いたところ、「居場所運営に従事する人材の確保が難しい」が70.0%、「居場所(場所)の確保・調整が難しい」が42.9%、「運営者を見つけるのが難しい」が35.7%と続いた。

 保護者への調査では、学校がある日の朝の主な居場所(自宅で起床し準備ののち、学校が始まるまで過ごす場所)を聞いたところ、「自宅(こどもが一人で過ごす時間は特になく、不安はない)」が48.2%と最も多かったものの、次いで「自宅(こどもが一人で過ごす時間があり、不安がある)」が28.3%と、3割弱の保護者が不安を抱えていることが分かった。

 学年別にみると、「自宅(こどもが一人で過ごす時間はあるが、不安はない)」は学年が高くなるほど選択する割合が高くなったが、「自宅(こどもが一人で過ごす時間があり、不安がある)」を選択する割合については、学年別の違いはみられなかった。

 また、学校がある日の朝(始業前)、こどもが現在「自宅」で過ごしている保護者に対して、自宅以外の居場所の利用希望の有無を聞いたところ、「どちらでもない」が23.7%と最も多く、次いで「利用したいと思わない」が23.3%、「全く利用したいと思わない」が22.8%だった。一方で、「とても利用したいと思う」「利用したいと思う」の合計も30.3%と、学校がある日の朝の居場所を求める保護者も一定数いることが分かった。

 こども家庭庁の担当者は、「こどもの朝の居場所について、不安に思っている保護者が3割程度いる。自治体によってもニーズは違うので、自治体ごとに調査し、保護者のニーズを捉えてほしい。また、こども家庭庁としては、保護者が働く企業側にもこうした状況を理解してもらい、社会全体の機運醸成に努めていきたい」と強調した。

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