性と健康の正しい知識の普及 「プレコン推進5か年計画」公表へ

性と健康の正しい知識の普及 「プレコン推進5か年計画」公表へ
「プレコンセプションケア推進5か年計画」について議論した検討会=撮影:松井聡美
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 若い世代への性と健康に関する正しい知識の普及に向けて議論してきた、こども家庭庁の「プレコンセプションケアの提供のあり方に関する検討会」は5月21日、最終回となる第5回会合を開き、「プレコンセプションケア推進5か年計画案」について議論した。5か年計画は、この日の意見を反映の上、近日中に取りまとめられ、公表される見通し。

 プレコンセプションケアとは、性別を問わず、適切な時期に、性や健康に関する正しい知識を持ち、妊娠・出産を含めたライフデザイン(将来設計)や、将来の健康を考えて健康管理を行うという概念。

 政府は2023年3月に「成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針」を閣議決定し、プレコンセプションケアの推進を掲げている。

 プレコンセプションケアに関連する国内の課題として、流産などの可能性が高まる高齢出産の増加や、低出生体重児の原因の一つでもある妊婦の痩せの増加などが挙げられる。また、中高生や大学生などの若い世代に、性や健康・妊娠に関する正しい知識の取得方法や、相談する場所・手段が広く知られていない。

 こうした状況を受け、特に若年層を対象にプレコンセプションケアに関する普及・啓発を強化するため、同検討会では今年度から取り組む「プレコンセプションケア推進5か年計画」の取りまとめに向け、議論を重ねてきた。

 5か年計画では、今後5年間の集中的な取り組みとして▽性や健康に関する正しい知識の積極的な普及と情報提供▽プレコンセプションケアに関する相談支援の充実▽プレコンセプションケアに関する医療機関などにおける相談支援の充実――を盛り込んだ。

 また、普及に向け自治体・企業・教育機関などにおいて、性や健康に関する正しい知識の普及を図り、健康管理を行うよう促す「プレコンサポーター」の人材育成を行う。

 例えば、教育機関においては、保護者の理解も得ながら、専門職による出前講座や個別相談の企画・実施などを行う。プレコンサポーターを担う人材としては、学校医、養護教諭、栄養教諭、看護師、保健師、心理士、教育機関や教育委員会の職員などを想定している。

 また、同計画での指標も示された。例えば、若い世代におけるプレコンセプションケアの概念の認知度は、現在は1割以下だが、5年後の目標を80%とした。プレコンサポーターは5年後に5万人以上を目指し、プレコンセプションケアに関する専門的な相談ができる医療機関数は、現在の約60機関から200機関以上にするとしている。

 こども家庭庁の担当者は「5か年計画に基づき、各関係機関の一体的な協力を得ながら、若い世代の方々に情報や支援が届くように取り組んでいきたい」と強調した。

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