政府は5月26日、経済財政諮問会議を開いた。来年度予算編成や制度改正の基本方針となる「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)の骨子案も示され、公教育の再生、研究活動の活性化が重要課題として据えられた。教育の重要課題も議題の一つに挙げられ、高校の授業料をはじめとする「教育無償化」などが取り上げられた。
骨子案では、賃上げを起点とした成長型経済の実現や中長期的に持続可能な経済社会の実現などがうたわれ、中長期的に持続可能な経済社会の実現の主要分野ごとの重要課題と取り組み方針の中に、少子化対策・こども政策の推進と並んで、公教育の再生・研究活動の活性化が盛り込まれた。
6月の取りまとめに向けて、次回会合で原案を示す方針。
また、この日の会合では教育の重要課題についても話し合われ、委員からは、個別最適な学び、協働的な学びの充実や、教職員の働き方改革の着実な推進や高等教育機関の機能強化が指摘された。
さらに「教育無償化」については、全ての若い世代に多様で質の高い教育を実現するとともに、経済的な事情による教育格差を是正するという目的が実現されるよう、高校教育の質的向上のための指針の策定や、授業料の便乗値上げの防止などに取り組むとともに、安定的な財源を確保すべきだとした。
議論を踏まえ石破茂首相は、教育の重要課題について関係省庁で議論し、必要な改革を骨太の方針に位置付け、着実に進めていくよう指示した。
赤沢亮正経済再生担当相は会議終了後の記者会見で骨太の方針について、「経済全体のパイを拡大する中で、力強い賃上げモメンタム(企業の賃上げに向けた動きの勢い)を定着させ、全ての世代の現在、将来の賃金所得が継続的に増加する。賃上げを起点とした成長型経済の実現に向けた取り組みの方向性を明らかにしていきたい」と意欲を示した。
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骨太の方針 正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針」。政府の経済財政政策の基本方針や経済、財政、行政、社会などの分野の改革の方向性を示したもので、首相の諮問によって経済財政諮問会議で審議され、毎年6月ごろに答申、閣議決定される。来年度の政府予算編成に大きな影響を与える。