特別支援教育の対象となる児童生徒が増加傾向にあります。学校において、特別支援教育や障害に関する認識を深めるとともに、校内体制の整備や組織的な取り組みを行うことが求められています。あなたは、教頭として、特別支援教育の推進をどのように行っていきますか。現任校の実態もふまえて、具体的に述べなさい。
愛知県では、多様な教育的ニーズに対応し、障害の有無によって分け隔てられることのない共生社会の実現に向け、「第3期愛知県特別支援教育推進計画(愛知・つながりプラン2028)」に基づいて、特別支援教育の推進・充実が図られている。
本テーマは、特別な支援・配慮を必要とする児童生徒が増加する中、「現任校での実態を踏まえて」「教頭として」「特別支援教育の推進」について「具体的に」述べることを求めている。そこで、特別支援教育や障害に関する認識を深めるための「教員の専門性の向上」、チーム学校としての「校内支援体制の整備」と「組織的な取り組み」の3点を柱に教頭としての対応を書き述べたい。
全ての人が障害の有無に関わらず生き生きと活躍できる共生社会を実現するために、学校は、児童生徒一人一人の個性が尊重され、互いに認め合い、ともに支え合い、だれもが輝ける場所でなければならない。近年、インクルーシブ教育推進のもと、どこの学校においても特別な配慮や支援を必要とする児童生徒が増加し、適切な支援・指導の在り方、学びの場の充実等、多様な教育的ニーズに応じた特別支援教育が重要な課題となっている。そこで、教頭として校長の意をくみ、誰もが輝ける学校を目指し、「教員の専門性の向上」「校内支援体制の整備」「組織的な取り組み」の3つを柱に特別支援教育の推進を図っていきたい。
発達障害などのある児童生徒は、通常学級にも特別支援学級にも在籍しており、全ての教員がそうした児童生徒に適切で必要な支援を行うことが求められている。そこで、教頭として、現職教育などで研修機会を設けることで教員の専門性の向上を図っていく。発達障害の専門家や地域の児童発達支援センターの心理士を講師として招聘し、教務主任や特別支援教育コーディネーターと相談の上内容を設定し、児童生徒のアセスメントや支援方法、保護者対応など、多角的に指導助言を仰ぐ。また、特別支援学校のセンター的機能の活用を促し、教育相談の実施や巡回相談での事例検討などを行い、適切なアドバイスを受けるようにする。教員がさらに特別支援教育に関する基礎的な知識、障害の特性などへの理解、支援方法の工夫と合理的配慮に関する理解を深め、専門性が向上するよう充実した研修を設定していきたい。
児童生徒の障害の実態はその背景も含め多様である。担任が児童生徒の対応に苦慮し、一人では対応しきれない状況から援助を求める場面も多い。そこで、特別支援教育コーディネーターを中心に全校的な支援体制の確立が必要である。連絡ノートや情報共有タイムを設けることで特別支援教育支援員との連携を深めたり、通級指導教室担当や特別支援学級担当、養護教諭などが児童生徒を観察して支援策や適切な学びの場を検討できるようにしたり、複数で対応できるよう人員配置を工夫したりするなど、校長と相談の上、チーム学校としての支援体制を整備していく。また、校内委員会で情報共有、事例検討の時間を設定し、より深い実態把握や支援方法の検討を行い、全職員が共通認識で児童生徒と対応できるよう助言する。担任が一人で抱え込むことがないよう積極的なコミュニケーションと心のケアにも努めたい。
特別支援教育の対象となる児童生徒の対応には、より専門的知識が必要となる。そこで、スクールカウンセラーや児童発達支援センターなどの心理士と連携を取り、専門家による児童生徒の実態把握に努める。また、アセスメントシートや個別の支援計画などを活用し、スクールソーシャルワーカーや児童相談所とも情報共有し、福祉や医療などの関係機関との連携強化を模索する。その上で、特別支援教育コーディネーターを中心にケース会議を開き、今後の見通しや保護者への情報提供・対応策など、関係職員と共通認識で対応することを確認する。これらについて、教頭として外部や保護者との窓口となり、特別支援教育コーディネーターを支えながら、組織的な対応を促進していきたい。
以上3つの取り組みを柱に特別支援教育を推進していくが、自身も校内巡回で児童生徒と触れ合い、実態や困り感の把握に努めたい。また、学級担任や教科担当とのコミュニケーションを大事にし、保護者とも円満で協力的な関係を築きながら、相談しやすい教頭となるよう心がけたい。そして、常に校長の指導を仰ぎながら、だれもが輝ける学校づくりに全力を尽くす所存である。