「これ、どう思う」 「うん。わたしはね…」
静かな教室のあちらこちらでは、子供たちの小さなつぶやきが聞こえる。
「〇〇さんの話を聞いたら、考えが変わったよ」
教え合う関係から学び合う関係へ。本校の子供たちからは、日々小さな成長を感じることができる。
本校は、2023年度より「自ら学びに向かい、他者との関わりの中で、新たな価値を創造できる子」の育成を目指して研究を進めている。
今回の研究を進めるにあたり、岡崎市教育委員会からの委嘱内容にある「創造」について、本校では、自らの考えをもち、他者と関わり合いながら多様な視点が持てることと、自分や他者の考えを「本当にそうだろうか」「他の見方や考え方はできるだろうか」と見つめ直す(再構築する)ことであると定義した。
「新たな価値を創造できる子」の具体像として、本校では次のような子供の姿を目指すこととした。
①自分の考えを持つことができる子②友達の考えを聞き、理解することができる子③自分の考えを見直すことができる子――の3点を具現化するために、それぞれの項目に応じて、次のような手だてを講じることとした。
誰一人取り残すことなく、すべての子に自分の考えをもたせるためには、学習課題の解決に向かうための工夫が必要となる。そこで、授業では、学級の子供の実態に合わせた複数の学習方法(学び方)を提示する。子供はそれを手掛かりにして個別の学びを進めることで、友達との関わりの元となる自分の考えが持てるようになってきた。
日々の授業の中の、互いに聞き合い、学びを再構築する場面では、岡崎市が推進している「チーム学習」を取り入れている。チーム学習とは、4人1組を基本とし、困ったときは助け合い、聞き合いを通して学びを深め合うことのできる学習隊形である。
チームでは、子供たちが自分の考えを伝え合い、見つめ直し(再構築)をする。よりよい関わり合いになるための話し方や聞き方は、週に一度「なかよしトーク」という活動を通じて力を培っており、授業の中では積極的に自分の考えを伝えるだけでなく、友達の考えに耳を傾けたり、聞いたことと自分の考えを比較したりする姿が見られるようになった。
個別の学びで得た自分の考えが、友達との関わりを通じて再構築されたことが一目で分かる振り返りや、レーダーチャートを用いた自己評価を継続して行うことで、子供自身が自分の成長を実感し、意欲的に学習活動に取り組めるようになっている。
研究発表会当日(10月15日)は、城南小学校の子供の姿から、これからの授業の在り方について、共に考える機会になればと思っている。
(執筆・菅美津枝教諭、文責・二村久校長)