次期学習指導要領に子どもの権利を 日本若者協議会が提言

次期学習指導要領に子どもの権利を 日本若者協議会が提言
次期学習指導要領に向けた提言について説明する日本若者協議会のメンバー=撮影:藤井孝良
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 若い世代の意見を政治や政策に反映させるアドボカシー活動を行っている日本若者協議会は6月12日、次期学習指導要領への子どもの権利の明記などを求めた提言を文部科学省の金城泰邦大臣政務官に手渡した。子どもの権利を学習指導要領に記載することによって、学校での子どもの権利保障につなげる意図がある。生徒会活動の内容に学校の意思決定への参画を含めることや、高校入試・大学入試の改革なども提案した。

 学習指導要領の改訂に向けた議論が始まるのを見据え、日本若者協議会では高校生や大学生、現役の教員らによるプロジェクトチームを立ち上げ、約1年かけて議論を重ねてきた。

 提言では、主体的・対話的で深い学びを標榜する現行の学習指導要領は子どもの興味関心を尊重し、さまざまな他者との対話を促す時代に合ったものであるが、授業の体制や学校の教育課程が十分に対応できていないと指摘。子どもたちは内申点や受験に追われ疲弊しているとし、探究型の学習を広げていくためにも、次期学習指導要領では、高校入試や大学入試も含めて変更し、子どもの権利を中心に据えた学校体制に改革すべきだとした。

 そのためにも、学習指導要領に子どもの権利を明記し、子どもの意見表明を支援する専門人材を配置したり、生徒会活動の内容に学校の意思決定への参画を明示したりするなどして、学校でも子どもの権利を保障することを求めた。

 また、過度な競争を是正するために「評定」を廃止し、高校入試を学力試験と内申書で選抜を行うものから、面接やプレゼンテーションなどを中心にしたものに変え、大学入試の総合型選抜の割合も5割程度に引き上げるべきだとした。

 この他にも、学習内容を精選した上で、高校では必履修科目を減らし、選択科目を増やすことなども盛り込んだ。

 提言の手交を前に文科省で記者会見した日本若者協議会の室橋祐貴代表理事は、文科省がこども家庭庁と連携して、学習指導要領に関して子どもの意見を聞く取り組みを今回初めて実施したことについて、「やったこと自体は良いことだが、アンケートは簡易的で、どこまで具体的に議論に反映させていくのかは分からない部分もある。学習指導要領の改訂を議論している中教審の教育課程企画特別部会の会議の中で、高校生や大学生から直接ヒアリングする機会を求めたい」と、学習指導要領の改訂の議論にもっと子ども・若者が参画できるようにすることを要望した。

 日本若者協議会のメンバーで、明星学園高校2年生の原誠さんは「『声を上げてもいいんだよ』と学校の先生から言われたことがない。校則を変えることに対しても、生徒は言うべきことなのかと、ためらいを持っている。みんなの意見を吸収して、良い社会をつくる民主主義の大切さを実践的に知る教育が必要だ」と話した。

 

【キーワード】

学習指導要領 全国のどの学校でも一定の教育水準を保てるように、文部科学省が定めている教育課程(カリキュラム)の基準。おおむね10年に1度のペースで改訂が行われる。各教科などで学ぶ内容や目標、授業時数の取り扱いなどが決められており、教科書も学習指導要領をベースに作成される。

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