学校ごとに災害リスクのチェックリスト 文科省が内閣府に協力要請

学校ごとに災害リスクのチェックリスト 文科省が内閣府に協力要請
学校の防災機能強化に関する資料を、今井内閣府政務官(左)に渡す金城文科政務官=撮影:山田博史
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 金城泰邦文科大臣政務官は6月17日、内閣府を訪れ、学校施設の防災機能強化に向けて、学校ごとに災害リスクを把握するためのチェックリスト作成などについて、今井絵理子政務官に協力を求めた。災害時に避難所となる体育館への空調整備促進なども併せて、教育委員会と防災担当部局の両方のルートから学校防災の充実を目指す。これに対し今井政務官は「文部科学省と連携を深めて取り組みたい」と協力する姿勢を示した。

 文科省では、能登半島地震の後に豪雨被害が重なって現地で災害対応が長期化した経験などを踏まえて、今年1月に金城政務官を主査とする「学校施設の防災機能の強化・実装に向けた検討会」を設置し、防災機能強化に向けた推進方策づくりを進めてきた。

 この中で、複合的な災害に備えて、学校ごとに▽災害種ごとの災害リスク▽施設の脆弱(ぜいじゃく)性や必要な対策▽避難所として必要な防災機能――を確認するためのチェックリストを作成し、災害に備えた対策づくりを進めることになった。

 チェックリストでは、学校周辺に土砂災害警戒区域や津波・洪水の浸水想定区域の有無をはじめ、浸水時の児童生徒の避難経路の確保、最大規模の避難者を受け入れたときに学校再開に必要なスペースや備蓄が確保されているかなど、学校ごとに確認し、不断の見直しに役立てることにしている。文科省は近く都道府県教委を通じて、災害リスクの高い地域にある学校を中心に作成を呼び掛けることにしている。

 金城政務官は今井政務官に対し、「空調設置や老朽化対策など、学校施設の避難所としての防災機能強化は喫緊の課題だと認識しているが、各自治体の教育長にお願いすると、首長部局に予算要求をしなければいけないので、首長部局にも防災の必要性を訴えてほしいと言われる。内閣府の防災部局とも情報を共有して取り組みたい」と協力を求めた。

 これに対し、今井政務官は「災害に強い学校づくりに向けて、各自治体の教委と防災部局の連携を強化していくのは、極めて重要だと考えている。文科省との連携強化を図っていきたい」と述べ、内閣府からも自治体に呼び掛ける姿勢を示した。

 また、金城政務官は、学校体育館への空調整備の促進に向けた協力も求めた。文科省は災害時に避難所となる体育館への冷房設置を全国の自治体に呼び掛けているが、昨年9月現在、公立小中学校の体育館などへの空調設置率は18.9%にとどまっている。

 こうした中、同省は空調整備の加速化に向けて、2024年度補正予算に779億円を計上するとともに、地方負担を実質25%に抑えて設置を促している。これに対しても今井政務官は協力する姿勢を示した。

学校施設整備に向けた緊急決議文を、阿部文科相(左から5人目)に渡す自民党の議員連盟のメンバー=撮影:藤井孝良
学校施設整備に向けた緊急決議文を、阿部文科相(左から5人目)に渡す自民党の議員連盟のメンバー=撮影:藤井孝良


 一方、同日、自民党の学校耐震化・施設整備等促進議員連盟のメンバーが文科省を訪れ、阿部俊子文科相に学校施設整備のための予算確保に関する緊急決議文を渡した。

 緊急決議文では、災害時に避難所となる学校体育館への空調設置の加速など予算の拡充が図られている一方、自治体が計画する事業量が予算を大幅に上回って多くの自治体で施設整備に支障が出ている状況にあると指摘。学校の防災機能強化に向けて、当初予算で恒常的に必要な額を確保するとともに、補正予算などあらゆる機会を通じて、喫緊の課題に対して前倒しで対応することを求めている。

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