参院選の候補者 76.6%が「高等教育を無償化すべき」と回答

参院選の候補者 76.6%が「高等教育を無償化すべき」と回答
登壇した学生らはオンライン署名を募るなどして、学費値上げ反対を訴えている=撮影:徳住亜希
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 大学の学生有志でつくる団体「学費値上げ反対緊急アクション」が6月13日、文部科学省内で会見を開き、今夏に行われる参議院選挙の候補者へのアンケート調査を公表した。アンケートでは高等教育を「無償化すべき」との回答が76.6%に上り、給付型奨学金を巡っては96%超が「多子世帯のみならず拡充が必要」と答えた。同団体は、学費値上げの問題を「参院選の主要な論点の一つに取り上げて」と呼び掛けている。

 アンケートは5月26日から6月11日にかけて、参院選に立候補を予定している402人を対象に、質問票をメールやSNSなどで送付して実施。このうち、6月13日時点で選挙区138人、比例代表31人の総計169人の候補者から回答を得た(回答率42.0%)。

 高等教育の無償化を巡って、76.6%の候補者が「無償化すべき」と回答。高等教育費にかかる公的支出に対しては、94.0%が「引き上げるべき」との考えを示した。支出増の具体的な方法としては93.4%が「国立大学運営費交付金」を、80.7%が「私学助成金」を増額すべきと答えた。

 また給付型奨学金について、96.4%の候補者が「多子世帯のみならず、さらなる支援拡充が必要」と答え、奨学金の返済に関しても83.7%が「負担軽減措置を講じるべきだ」と回答している。

 昨年10月の衆院選では、自民・公明・立憲民主・日本維新の会・国民民主・共産・れいわ新選組・社民の8党が、「高等教育無償化」や「学費減額」を公約に掲げていた。これらの政党のアンケートへの回答率は6月13日時点で、▽れいわ 100.0%▽共産 91.1%▽社民 80.0%▽立憲 60.0%▽国民民主 46.3%▽維新 38.5%▽自民 21.8%▽公明 21.4%――の順になり、政権与党で低い傾向にあった。

 これらの結果を受け、同団体のメンバーで東京大学4年の金澤怜さんは「96%以上の候補者が奨学金を拡充すべきとしている点や、国立・私立を問わず大学運営費の公的補助を増やすべきと答えた点は、プラスに受け止めている」としながらも、一部の候補者から「留学生や外国人に対する排外主義的な回答が見られたことは問題」と指摘。

 留学生や外国人をはじめ、女性や地方出身者、障害がある学生らの包摂的支援と、予算措置の必要性を訴えた。

 加えて、日本政府は国際人権規約で「高等教育の漸進的無償化」が義務付けられているにもかかわらず、無償化すべきでないと回答した候補者が23.4%いたと説明。学費値上げを止めなければ経済的格差は一層拡大するとして、候補者に対し「意識を変え、高等教育の無償化にまい進することを望んでいる」と強調した。

 同団体によれば、政党別の回答や回答傾向をまとめたアンケート結果の詳細について、6月中にホームページ上での公表を予定している。

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