GIGAスクール構想で導入された学習者用端末の更新時期が迫る中、端末の処分に携わる事業者らで構成される「児童生徒のデータプライバシー協会」は6月19日、メディア向けの説明会を開き、学習者用端末の処分にあたって1件のデータ漏えいも起こしてはならないとして、専用のソフトウェアを使った適正なデータ消去と、そのための自治体の予算確保が必要だとする提言を発表した。
処分される端末のデータ消去では、専用のソフトウェアを利用することが最も安全性が高いとされているが、同協会が1787自治体の教育委員会に行った実態調査では、回答を寄せた104教委のうち、専用ソフトウェアを利用したデータ消去をしていたのは12.5%にとどまり、データが復元されるリスクのある初期化・リセットや磁気消去、物理破壊の方法を取っていたのは23.0%を占めていた。
これを受けて開かれたメディア向け説明会で同協会の佐原忠史理事は、データ消去には「NIST Purge」と呼ばれる、研究所レベルの復元ツールを使っても復元は不可能とされる水準のソフトウェアの使用を推奨。「第三者機関がNIST Purgeレベルを保証した、信頼できるソフトウェアで消去していただきたい。さらに、こうしたソフトウェアでは消去証明書が自動で発行されるので、それもちゃんと管理してほしい」と呼び掛けた。
同協会の専門委員を務める全国ICT教育首長協議会会長の横尾俊彦佐賀県多久市市長は「ポイントはどうやって予算を確保するかということだ。教育委員会がその気になっても、財務当局が理解して首長が決済しなければ実際に予算はつかない。一番重要なのは、トップや幹部が(その重要性を)しっかり理解することだ」と強調した。
その上で同協会は、GIGAスクール端末の更新に際して情報漏えいを1件も起こさないように、専用ソフトウェアを使った適正なデータ消去を実行することと、そのための自治体予算を確保する必要性を提言した。
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GIGAスクール構想 全国の小中学生などに1人1台のコンピューターを導入し、学校などに高速ネットワークを整備することで、学校でのICT利活用を加速させ、学びを変えていこうとする文部科学省の施策。GIGAとは「Global and Innovation Gateway for All」の略。