23年度の学校教育費、13.5兆円で減少 定年延長の影響も

23年度の学校教育費、13.5兆円で減少 定年延長の影響も
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 文部科学省は6月25日、「令和6年度地方教育費調査(令和5会計年度)」の中間報告を公表した。学校教育や社会教育のため、都道府県や市町村が2023年度に支出した費用の総額は16兆2514億円となり、前年度から0.3ポイント減少。このうち「学校教育費」は13兆5429億円で8割を占める一方、前年度に比べ0.9ポイント微減した。学校教育費の減少について、同省の担当者は「23年度に開始された国家公務員の定年延長に伴う、人件費の減少が大きい」と分析している。

 学校教育費は前年度から減少。内訳を見ると、人件費や教育活動費などの「消費的支出」が11兆857億円(前年度比2.5%減)、債務償還費は7873億円(同1.8%減)で、いずれも減少傾向が見られた。

 中でも人件費は8兆7756億円に上り、学校教育費の8割を占めることから影響が大きい。同省総合教育政策局の担当者は、人件費の中でも23年度は「退職・死傷手当」が3264億円で前年から4429億円減少したことに触れ、「23年度から国家公務員の定年年齢が段階的に引き上げられた。そのタイミングが重なり、退職・死傷手当が大幅に減った影響から、23年度の学校教育費の減少にもつながった」と説明した。

 人件費を学校種別に見ると、小学校が3兆8353億円(同3.2ポイント減)、中学校が2兆1150億円(同4.6ポイント減)、全日制高校が1兆5447億円(同7.6ポイント減)。

 子ども1人当たりにかかる教育費については、小学校が103万2060円(同2万6509円増)、中学校が115万4699円(同6919円減)、全日制高校が126万4621円(同5万7527円減)で、とりわけ高校での減少が目立った。同省の担当者は「学校教育費の減少に加え、在学者数も減っていることが影響した」と指摘する。

 また、地方公共団体が社会教育施設や活動に支出する「社会教育費」は1兆6051億円で、前年度より3.5%増加。全体では増加傾向が見られたものの、図書館費、女性教育施設費、文化会館費は減少した。

【訂正】正しくは「学校教育費は前年度から減少」でした。訂正し、お詫びします。

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