私は、第1回職員会議のときに、校長としての学校経営ビジョンを語るとともに、私がこれまで先輩方から学んできたことを「こんな教師でありたい」と称して、先生方に伝えるようにしている。ここでは、その一端を紹介したい。
特に、教室環境を大切にしてほしいと呼びかけている。私が若い頃、先輩方から「環境が人を育てる」と教えていただいた。例えば、作品を掲示するときも、その掲示の仕方一つで教室の雰囲気は随分変わってくる。ある先輩からは、「先生方の教室を見せていただき、その雰囲気を感じなさい」とご指導いただいた。それからは、そうした意識で各教室を回って覗くようにすると、学級経営が上手で、子供たちが生き生きと頑張っている学級は、教室の中が整然と整い、掲示物も温かみがあり、とても落ち着いた雰囲気を感じ、はっとさせられたことを、今でも鮮明に覚えている。そして、このことは、現任校でも然りである。
常に子供たちには、課題意識や目標を持たせてほしい。そして、振り返りを大切にし、自らの頑張りや成長を自覚させてほしいと呼びかけている。
私は、常々、子供たちに「一生懸命はかっこいい」と連呼している。そして、先生方には、子供たちの頑張りを価値付けて褒め、更なる意欲を喚起してほしいとお願いしている。また、ダメなときは何がダメなのかを明確にして、子供たちに頑張らせてほしいとお願いしている。私自身も全校集会などで、良くも悪くも子供たちの姿を価値付けて、更なる意欲を喚起するように心がけている。
学習規律は、学習習慣を定着させていく上でも、良好な人間関係を構築していく上でも、学級経営の土台となってくる。特に、先生方には、字を書くときや話を聞くときの姿勢を、子供たち自身にも意識させてほしいとお願いしている。
本校では、4月の慌ただしい時期ではあるが、学習規律に焦点を当てた現職教育を行っている。学級経営の上手な先生に授業を公開していただき、実際の子供たちの姿から、本校の学習規律に対する共通理解を図っている。そして、全職員がベクトルを揃え、日々積み上げていくことの大切さを確認している。特に、若手教員にとっては、学習規律を意識して頑張っている子供たちの姿や、実際の指導法などを目の当たりにし、とても刺激を受けているようである。
「よい先生になりたかったら授業が上手くなれ」と、先輩からご指導いただいたことがあるが、先生方には、とにかく授業を大切にしてほしいとお願いしている。特に、目の前の子供たちの実態を捉え、付けたい力を明確にして単元を構想することと、授業の導入を工夫して子供たちに課題意識を持たせることは、その意義や価値も含めて強くお願いしている。実際は、口で言うほど簡単なことではないが、常に子供たちの姿を念頭に置き、あれこれと試行錯誤していく営みが、教師力や授業力の向上につながっていくと信じている。
こんなことを語りながら、最後は、「チーム西尾小として、子供たちの悪口ではなく、子供たちの頑張った姿で盛り上がりたいですね」と締めくくるようにしている。
(伊藤嘉樹・西尾市立西尾小学校長)