コンコン。
「はい、どうぞ」。
今朝もノックの音で校長室の扉を開けます。そこには、少し緊張した顔の子が立っています。 「ようこそ。お誕生日おめでとう!」
四百数十人の豊小学校の子供たち一人一人と向き合いたい、そんな思いから、それぞれの誕生日に校長室への招待状を出しています。
歴代校長の写真に物珍し気に見入る子、大きなソファーで飛び跳ねる子、一人だと心細いのか友達と手をつないで座る子…。見せる表情は様々ですが、どの子もふわっと笑顔になる瞬間があります。それは、大人気キャラ「ゆたかん」のハッピーバースデーワッペンを贈られる時です。
ゆたかんは豊小のマスコットで、授業のワークシートにも行事のしおりにも登場し、豊っ子みんなに愛されています。
その日は、胸にワッペンを付けて過ごします。すると、「おめでとう!」と声がかかります。顔見知りでない子や先生からもお祝いを言われ、照れている子をよく見かけます。もちろん、このワッペンは教職員の誕生日にも贈られるので、子供たちは張り切って先生にお祝いを言います。
誕生日をお祝いするささやかな取り組みは、豊小の日常になっています。
どんな活動をする時も「あなたと会えてうれしい」「ここで一緒に過ごせてうれしい」そういう気持ちを育む学校、真っ直ぐ伝え合うことができる教室にしたいと願って、これからも励みたいと思います。
(宮内かがり・豊川市立豊小学校長)