本校は全校児童163人で、田原市では中規模校にあたる学校である。子供たちは、素直で、人懐っこく、人の手伝いをすすんですることができる。しかし、周りの意見を受け入れることが苦手で、さまざまな人と関わる経験の不足から多面的に捉える力が弱い。そこで、道徳教育を核とした教育課程の実践を通して、仲間と相互作用しながら、自分自身を磨き、自己実現に向かっていける子の育成に取り組んでいる。
研究にあたり、次の3つをキーワードに取り組んでいる。
(1)すすんで関わり合う
子供自身から湧き上がる思いをもとに、意欲的に仲間(同学年や異学年の友達、学校や地域などの教育活動に関わる全ての人)とコミュニケーションをとりながら主体的に関わり合い、さまざまな体験活動を進めていく。
(2)素直にみとめ合う
子供が素直な気持ちで自分や仲間のよさを感じ、それぞれの個性を受け止め、相手のありのままを認められるようにする。自己肯定感を高めつつ、他者理解をはかることができるようにする。
(3)互いに助け合う
仲間と協力したり、励まし合ったり、助け合ったりしながら、自己有用感をもつことができるようにする。そして、目標に向かって進んでいくことで、人間関係形成力を育て、温かな人間関係づくりをすることができるようにする。
【福江小スタイルの道徳】
授業づくりの型を導入・展開前段・展開後段・終末とし、どの教材でも児童が考えたり、振り返りをしたりしやすくする。そのために、発問・問い返しや板書の仕方、話し合いの形を工夫することで「話す聞く」力を育てる。
【総合単元的な道徳学習の構想】
道徳学習を学校教育活動の核に据え、教科・領域、学校行事、日常の活動、特別活動などと関連付けて単元を組んでいく。道徳の価値の内容項目と各学年の教科・領域や行事等を結び付けて効果的に接続したり、人やものや出来事を有機的に結びつけたりすることで、よりよい教育活動を進めることができると考える。
【ふくしょうタイム】
学級内の多くの子と関わり合う機会を意図的に作り、人と関わり合う力を高めるために取り組んでいる。毎週水曜日の朝の10分間に、通年で実施している。ソーシャル・スキル・トレーニングを通して、児童の関わり合う力を育むことで、コミュニケーション力の向上に努める。
2023年度より、田原市教育委員会の研究委嘱を受け、研究実践を重ねてきた。講師として、岐阜聖徳学園大学非常勤講師の河合宣昌先生より、研究へのご助言・ご指導をいただきながら、研究を進めている。10月30日にこれまでの研究の成果を市内外の先生方に発表する。子供たちの互いの違いを受容し、みとめ合い、支え合いながら学ぶ姿をぜひ見ていただきたい。
(文責・本多孝校長、執筆・大場康弘教務主任)