本校の学級規模は、全校生徒数618人、学級数は特別支援学級5クラスを含めて21クラス。今年度で開校79周年となる豊明市で最も歴史ある中学校である。校訓「質実剛健 協同親和」を基に、知・徳・体の調和のとれた、心豊かで実践力のある生徒の育成を目指している。近年、外国をルーツとする生徒が徐々に増えており、新1年生はおよそ20%が外国籍の生徒である。
本校はさまざまな生徒が在籍するので、確かな学力を付けさせるために、教師の研さんにより全ての生徒の学習活動を保障する「協同の学び」を推進している。関わり合いの基盤として他者の話をしっかり聞く態度を育て、「分からない」「教えて」の二言が言える雰囲気を高めている。そして、外国ルーツの生徒も含め、生徒一人一人の学びの進捗を細かに見取り、「協同の学び」にICTの活用を取り入れた学習活動を工夫している。
本校生徒の最も感心するところは、異なる国籍、異なる文化をもった生徒が全く壁をつくらず分け隔てなく仲良くしている点である。日本語がほとんど話せない状態で転入してくる生徒も多々いるが、NPO法人のプラス・エデュケートという外国ルーツの子どもに教育支援事業を行う施設と連携して日本語の基礎を教えてもらっている。プラス・エデュケート修了後は学校で、教員による取り出し日本語指導を行ったり、ボランティアによる「かいわ教室」を行ったりして日本語に慣れさせている。言葉が通じない保護者とコミュニケーションをとるために通訳が4人常駐している。通訳はお便りを翻訳したり、電話対応をしたりして活躍している。
次に挙げられる特徴としては、行事が盛り上がる点である。体育大会の応援合戦、合唱会、文化祭の有志発表、いずれも大盛り上がりする。本校生徒はエネルギーがあり、どんな行事に対しても全力で取り組み、全力で楽しもうとする。一人一人が自分の得意なところで実行委員等となって活躍し、それ以外の生徒も仲間ががんばっているのだから協力しようとするよい関係ができている。これは日頃から、異なった文化や考え方をもった友達を受け入れ、認め合っていることが土壌になっているからだと考えている。
また、本校の生徒はボランティアに積極的に参加することも特徴の一つである。地域の行事やお祭り、子ども食堂などにたくさんの生徒がボランティアに出かけていく。そのため、地域の人から大変愛されている。欲を言えば、外国籍の生徒がボランティアに参加する割合が低いので、外国籍の生徒ももっとボランティアに飛び込んで、地域の人と関わり合って、地域の一員として分け隔てなくかわいがってもらえるようになってほしいと考えている。
本校の姿は遠くない未来の日本の状況を映している。人種や文化が違ってもその違いを尊重し、互いのよさを認め合って、分け隔てなく助け合える社会になってくれることを願っている。
(文責・早川貴宏校長)