文部科学省は7月15日、2024年度の文部科学白書を公表した。今年6月に成立した改正給特法をはじめ、教職員の労働環境を巡る動きなどを整理したほか、特集では中教審が今年2月に取りまとめた答申「我が国の『知の総和』向上の未来像」を踏まえた、高等教育システムの再構築について取り上げた。
白書では、初等中等教育に関連した施策として▽学習指導要領が目指す教育の実現▽教師を取り巻く環境整備▽高等学校改革の推進▽教科書の充実▽いじめ・不登校等の生徒指導上の諸課題への対応▽きめ細やかで質の高い教育に対応するための教職員等の指導体制の整備▽障害のある子供一人一人のニーズに応じた特別支援教育の現状――などを紹介した。
コラムでは、今年6月に成立した改正給特法について解説。29年度までに教員の月当たりの時間外在校等時間を平均30時間程度にする目標や、そのための具体的な措置、26年度からの中学校35人学級に向け法制上の措置を取ることなどについて、「25年度予算に関する財務大臣と文部科学大臣の合意に盛り込まれている内容であり、文科省としては、その実現・達成に向け、しっかりと取り組んでまいります」と強調した。
また、特集では高等教育の再構築を巡る方針を整理。今年2月に中教審が取りまとめた答申を踏まえ、▽教育研究の「質」のさらなる高度化▽高等教育全体の「規模」の適正化▽高等教育への「アクセス」確保――など3点を、高等教育政策の目的と位置付けた。
阿部俊子文科相は15日の閣議後会見で「引き続き国民に活用される白書を目指すとともに、教育科学技術、学術、スポーツ、文化、芸術分野の各施策のさらなる充実を図っていく」と述べた。