夏こそ生成AIを学ぼう あなたの知識が学校を救う(庄子寛之)

夏こそ生成AIを学ぼう あなたの知識が学校を救う(庄子寛之)
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生成AIは今や「相談相手」

 皆さんは、生成AIをどこまで使っているだろうか。最近では検索をしても、トップに生成AIのまとめが表示される時代である。こういった、知らず知らずのうちに使っているケースを除いて、自分で意図的に使っている場面はどれだけあるだろうか。

 生成AIは、文章の要約はもちろんのこと、新しいアイデアなども生み出してくれる。相談相手としても素晴らしい。まるで人が答えているかのようである。インターネット上のデータを学習して生み出されているはずだが、まるで人格を持っているのではないかと錯覚することもある。海外では、生成AIを一番使う場面は、相談相手だという。

 ぜひ、皆さんも使っていただきたい。まるでそこに人がいるのではないかと思う回答が瞬時に返ってくる。また生成AIだからこそ、素直に話が聞けることもある。私も毎日たくさんの相談に乗ってもらっている。

迷ったらまずChatGPT、Gemini、Copilot

 この夏から勉強しようという人は、まずはChatGPT、Gemini、Copilotをお勧めする。どれも無料で、ログインしなくても使用することができる。

 まず「ChatGPT」はオープンAIが開発した、生成AIの「パイオニア」的な存在だ。世界中で利用されており、最もスタンダードなAIツールといえる。操作も直感的で、入門としては最適だ。

 次に「Gemini」。これはグーグルが開発した生成AIで、クロームやグーグルドキュメントと連携しやすく、検索機能とも自然につながる。学校の端末がクロームブックの場合は、Geminiから入るのもよい選択だろう。

 そして「Copilot」。マイクロソフトが開発しており、ワードやエクセルなどとの親和性が非常に高い。学校の文書づくりに便利で、ウィンドウズ端末の現場では、真っ先に導入すべきツールだ。

校務に生かす! 夏に試したい2つの使い道

 生成AIは、授業にも活用できるが、まずは「校務」から使ってみると効果を実感しやすい。夏休みのうちに遊びながら触れてみて、9月からの校務に生かすことを目指してほしい。お勧めの使い方は、次の2つである。

 1つ目は、長文PDFの要約。都道府県や市区町村の教育委員会から届く何十ページもの文書は、読むだけで一苦労だ。しかし生成AIにPDFを読み込ませれば、あっという間に要点を分かりやすくまとめてくれる。

 2つ目は、学校・学年だよりのあいさつ文である。昨年度と同じ文面を、つい使い回してしまっているという人にこそお勧めだ。生成AIに「保護者への9月のあいさつ文を考えて」と投げ掛ければ、瞬時に案を出してくれる。

 一度で思い通りにならなければ、「もっとやわらかく」「小学1年生向けに」「キーワードに『残暑』を入れて」などと修正指示を出せばよい。そして最後に「もう5パターン出して」と言えば、すぐ出てくる。その中で一番良いものに、自分のオリジナルの言葉を付け加えるだけである。

「使えない」と決め付けていた人こそ

 生成AIが登場して、もうすぐ3年になる(ChatGPTの登場は2022年末)。日々進化しており、さも正しいかのように間違ったことを言う(ハルシネーション)という問題も、公開当初と比べればかなり減ってきた。

 数年前、「まだ使えない」と決め付けていた人こそ、ぜひもう一度、触ってみてほしい。検索と同じように、生成AIに問いを投げ掛けるのが当たり前になる時代が、もうすぐそこまで来ている。

 何も意識しないで学校にいると、「4月に入学式を迎え、翌年3月に卒業式を迎える」というサイクルを毎年こなすだけになる。学校外から情報を得ていかないと、時代に合っていない教育をしてしまいがちである。

10年後の未来を考え、逆算する

 変化の激しい世の中だと毎年、言われている。しかも、その変化のスピードは加速している。一方、自分や学校の変化を遅らせてしまうのが、「当たり前」という固定観念である。毎年やっていることにも、確かに教育的意義はある。だからこそ、時代に合わせて何を取り入れて、何を捨てるのか吟味することが必要だ。

 生成AIを活用する力は、これからの教員の「必須スキル」になるだろう。子どもたちは10年後、生成AIを使いこなす社会で働くことになる。教師が「知らない」「使えない」と言っていてよいだろうか。そんなはずはない。

 未来から逆算し、今、何を学ぶべきかを考える夏にしてほしい。生成AIは、未来を学ぶ最高の入り口である。

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