7月28日の中教審教育課程企画特別部会では「子どものより主体的な社会参画に関わる教育の改善」並びに「カリキュラム・マネジメントの在り方」のテーマで議論が行われた。この2点について共通するのが「地域社会」である。
頭をよぎったのが1947年に世に出た学習指導要領(試案)である。言うまでもなくアメリカのJ・デューイによる経験主義の影響を受けた学習指導要領だ。知識よりも子どもの経験を重視したその内容は、新たに登場した社会科で代表されるように「はいまわる経験主義」とやゆされ、58年の改訂で系統主義に取って代わられた。
今回の討議では子どもが主体的に社会参画する基盤づくりとして「校則など学校のルール作り」や「学校行事への参画・意見表明」といった具体案が出た。実は試案の中学校社会科で「例えば、学級自治会などによって学校における『公民権』について若干の規則をつくること。意見の一致をみてできあがった規則はパンフレットにして一般に知らせること」といった内容が示されており今回の案は試案の再来を想起させる。
当時の経験主義が教師にも子どもにも受け入れられなかったのは「何のために自分はこの活動をするのか、自分はこれからの社会をどう創り上げたいのか」の発想と自問自答への教員のアドバイスが欠けていたのではないか。
これからは社会の変化に対応するだけでなく自分に合った社会をどう創造していくかの「主体性」が不可欠だ。それを次期改訂でどう具現化するかで新しいスタイルの学習指導要領の姿が見えてくる。