管理職研修「審査論文をどう書くか」(115)

管理職研修「審査論文をどう書くか」(115)
【協賛企画】
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審査論文テーマ

 複雑化・多様化した課題に対応するためには、校長一人のリーダーシップに頼ることなく、教職員が一丸となって学校運営を支えることができる協働体制の構築が不可欠であり、そのための「チームとしての学校」の実現は急務である。その中で、教頭の担うべき責務は重要であり、校長のマネジメントを教職員全体で支える上で、学校の内外を問わず、教頭としてリーダーシップを発揮し、どのような手だてを講じるかを具体的に述べることが求められる。これらを踏まえた上で論文の柱立てを考える。ここでは、「チームとして機能する組織の改善」「教職員のスキルアップとコミュニケーション能力の向上」「学校と家庭・地域との連携」の3つを柱として具体例を示す。

 「チームとしての学校」を作り出すためには共通の目標や使命に向けて教職員全員で、連携する必要がある。そのためにも、校長が考える学校経営のビジョンを明確に共有し、組織全体が同じ方向に向かって進むための基盤づくりが肝要である。そして、その実現に向けては、教職員一人一人が自己の才能を発揮し、やりがいをもって取り組むことができる組織マネジメントをすることが重要である。また、校長の意向や方針を理解し、情報を適切に共有するためにも、教職員間のコミュニケーション能力を向上させることも必要である。また、学校が一丸となって、持続可能な「チームとしての学校」を存続していくためには、保護者や地域、関係機関との連携も不可欠である。これらを踏まえ、私は教頭として校長の指示を仰ぎながら、次のように進めていく。

1.チームとして機能する組織の改善

 教職員一人一人が自己のパフォーマンスを十分に発揮し、やりがいをもって働くことができる組織を構築することは、円滑な学校運営を進めるにあたって必要不可欠である。そこで、教職員の組織改善を校長の指示のもと実施する。まずは、教職員評価などをもとに校内の校務分掌をはじめとした組織の在り方について、各担当者と定期的に意見交換を行う機会を設ける。そして、これらの意見をもとに、年齢構成にも配慮しつつ、効率性、専門性、公平性などについて校長と相談をしながら、教職員との合意形成のもと、柔軟に調整をしていく。そして、確実なフィードバックを行うことで、組織の活性化を促す。また、数年先を見据え、持続可能な学校運営を施すためにも、同一担当者が経年継続とならないように配慮することも必要であると考える。

2.教職員のスキルアップとコミュニケーション能力の向上

 現在、学校現場においては若手教員が増加し、彼らを指導するミドルリーダーが不足している状況にある。そこで校内研修会を実施する。研修会では、情報収集能力・情報分析能力・意思決定能力といったスキルの向上を図るとともに、教員に必要な報告・連絡をはじめとした相談体制を身に付けさせることを目標として、インシデント・プロセス法を用いた事例研究会を実施する。この手法では、おのおのが一人で考えるのではなく、互いに相談をして解決方法を探るため、教員として必要な実践的指導力の向上だけでなく、コミュニケーション能力の向上も期待される。また、研修会の指導者を中堅教員に任せることでミドルリーダーの育成も図ることができる。

 さらに、日頃から風通しの良い職員室となるように声掛けに配慮をしていく。互いの意見を自由に交換し、校内の情報が円滑に共有できる職場環境を心掛けることで教職員間の連携を強化していく。

3.学校と家庭・地域との連携

 まずは、透明性のある開かれた学校づくりを目指す。例えば、ホームページや学校通信目指、子どもたちの生活や学習の様子を、その活動内容の目的を明確にした文章とともに発信・発行する。また、PTA活動では、教職員と保護者が協力して子どもをサポートすることができる行事を模索し、連携の強化を図る。そして、保護者からの学校評価を真摯(しんし)に受け止め、PDCAサイクルに結び付けて対処し、今後の学校の運営方針や運営計画などについての見直しを、校長と相談をしながら進めていく。そして、学校運営協議会や地域コミュニティとの会合から、地域の期待やニーズを聞くとともに、学校の教育活動について協力を要請し、調整を図っていく。また、教育委員会をはじめ、関係機関とも定期的に情報交換を行い、確実に校長へ進言するように努める。

 学校が果たすべき課題が多様化し、教頭の役割は今まで以上に大きくなってきている。「チームとしての学校」における教頭に期待される資質・能力は、社会の変化に柔軟に対応し、校長の意向をくみながら、校内外のさまざまな組織と調整や連携を図り、リーダーシップを発揮する力である。そのような教頭として学校を支えていくことができるように、引き続き研さんを積んでいく所存である。

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