生徒中心の学び 名古屋市立桜山中学校

生徒中心の学び 名古屋市立桜山中学校
グループで考えた作者の思いや意図について発表する様子
【協賛企画】
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研究について

 本校の目指す生徒の姿は、仲間と協働する中で主体性を磨くことができる生徒である。仲間と協働することにより対話が生まれ、個別最適な学びで得た自分の考えを深めたり広げたりすることができると考える。さまざまな場面で協働する経験をすることで、社会性やコミュニケーション能力が向上し、社会での適応力を高めることができると考える。また、主体性を育むためには、授業の中で子どもたちが主体的に取り組むためのきっかけや仕掛けが必要である。子どもたちが興味関心を持ち、自ら探求できる課題設定が重要となる。すなわち協働的な学びの中で、個別最適な学びと一体的に主体性が高まる「生徒中心の学び」を実現し「社会で生き抜く力」を育てていきたい。

実践の内容

 今年度、音楽科では「主体的・協働的に音楽表現を追求できる生徒の育成」をテーマに取り組んでいる。テーマに迫るために、
 手だて(1)楽曲を分析して、曲想や音楽記号から作曲者の意図を考える活動の設定。
 手だて(2)仲間との対話を通して、表現の仕方の工夫について考え表現する活動の設定。以上を手だてに、3年生184人を対象に実践に取り組んだ。

実践の様子

 【実践(1)】作者の思いや意図を感じ取って表現しよう。歌唱教材「花」をグループで分析し、実際に歌って表現する探求活動を行った。考えを共有する場として行った発表では、音楽を形づくっている要素(以下音楽の要素)と歌詞との関わりに気付くグループや「fの感じ方が変わった」「同じ強弱記号でもイメージの違いによって歌い方が変わるね」と、作者の思いや意図に迫る姿が見られた。

 【実践(2)】曲のイメージに合わせて表現の工夫をしよう。仲間との対話を通して表現方法の工夫を考え、試しながら「ブルタバ」をリコーダーで演奏する。友達の演奏を聴き比べながら、よりよい表現方法を探求することができた。「やっぱりポルタート奏法の方が、音がはっきりするね」「ここは息の量をもっと強くしてみよう」とこれまでなんとなく表現していた生徒が、試行錯誤しながら表現を探求する姿が多く見られた。

実践のまとめ

 グループで探求的な活動を行ったことで、音楽の要素に気付き、自分の考えをもって表現できる生徒が増えた。これは教師が実践(1)時に、個で考える時間も必要と感じたため、実践(2)では、個で考えられるよう授業改善を行ったことも大きく関係している。

 また、2つの手だてを行ったことで、協働的なグループ活動(探求活動)の中で考えた思いや意図を演奏や歌唱に表現したいという思いが高まった。生徒の探求心は高まると同時に、主体性も大きく高まったと考える。

おわりに

 このような音楽の「生徒中心の学び」で育んだ力が、10月に行われる桜山合唱祭でも十分に発揮されることが期待できる。それだけでなく、全ての授業、普段の学校生活で「生徒中心の学び」が行われることで、学校全体で生徒同士の関係性の向上にもつながると考える。今後も「生徒中心の学び」を大切に、目指す生徒の育成に迫っていきたい。

 (文責・平林俊幸校長、執筆・清水翔一教諭)

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