(読者の窓)どうしたいの

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 夏休みが近づいたある日の朝、2年生の男の子が校門にいた私に近寄ってきて、

 「校長先生、夏休みになったらこのじょうろをどこにおいておけばいいですか」

 と相談してきた。5月に学校菜園に植えた夏野菜に男の子は、じょうろを下駄箱に入れておいて毎朝必ず水やりをしていた。夏休みになったら下駄箱は入口が閉まってしまうことを1年生の夏休みで知っていた。だから、毎日の水やりを夏休みにも続けていきたくても、じょうろを持ち帰らなくてはいけないのだろうかと考えて、じょうろの置き場所をどこにしたらよいのか困っていたみたいだった。

 夏休みには今と状況が変わり、今まで通りではいかないことに気付いた男の子の主体性に感心したのと、それを聞いた担任の先生が、男の子に「菜園の横に苗を運ぶかごがあるけど、そこにじょうろを入れてもいいですよ。他にどこかに置いておきたい場所がありますか」とその子の想いを聞いてあげたことにまた感心しました。そのような学級経営をしてきたから、この子のように主体性が養ってきているのだろうと思いを巡らせた朝でした。

 「こうしなさい」ではなく「あなたはどうしたいの」と言える先生が、考える子どもたちを育てていくのだと感じた何でもないエピソードでした。

 (稲垣隆佳・安城市立今池小学校長)

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