(提言)教師よ支援者であれ

(提言)教師よ支援者であれ
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愛知県公立小・中学校女性校長会長 森 勢津子

 8月3・4日に全国公立小・中学校女性校長会山口大会が行われました。大会の中で「島耕作シリーズ」で有名な漫画家・弘兼憲史氏の記念講演がありました。

 弘兼氏は漫画家という夢をもちつつも、早稲田大学法学部、松下電器と着実な道を歩まれました。その一方で、幼少期から二科会の先生に絵画を習い、大学の漫画研究会で活躍し、ホテルボーイのバイトで政財界に触れ、松下電器からフリーデザイナーへの転身、雑誌への漫画の投稿、入賞とあらゆるチャンスをつかみ、夢にたどり着きました。その人生は、さまざまなチャンスを物にし、着実に経済界を昇りつめた「島耕作」そのものでした。教師は、子どもたちの「夢」を、努力すれば届く「小さな目標」に変え、楽しく人生を生きるための支援者であってほしい、と語られました。

 分科会では、愛西市立西川端小学校の賀島美恵子校長が実践発表をされました。「主体的・対話的で深い学び」「授業改善の方向性」についての教職員の実感を伴った共有、ミドルリーダーや若手を生かした「学び続ける仕組づくり」、「トークタイム」により心理的安全性を高め、「協働的な学び」につなげる取り組みについての興味深い発表でした。

 教育委員会指導主事からの助言では、へき地校の複式学級についての話がありました。複数の学年が在籍する教室で、子どもたちは自分の目標を自分で決めて学習を進め、教師は一人一人の支援者だったということです。中には次の学年の学習に取り組みたい、と言う子どももいたそうです。個別最適な学びをイメージしづらい私たちに分かりやすいご示唆をいただきました。

 また、8月9日には愛知県女性校長会を開催しました。研修会では「LGBTQ+を含めたすべての子どもが輝ける学校づくり」をテーマに、NPO法人ASTAの皆さんの話を聴きました。「学校は男女に分けられる場所だった」という言葉が胸に刺さりました。放課にトイレに行けずわざと授業中に行ったこと、健康診断はいつも欠席したこと、「思春期になると異性に興味を持つようになる」という保健の教科書の記述への絶望、カミングアウトの難しさやそれを受け入れる家族の苦悩を聞き、私たちは正しい知識と寄り添う心で「そのままでいいんだよ」と言える支援者でありたい、と強く思いました。

 「支援者であること」これこそが令和の日本型学校教育の根幹なのだと考えさせられた夏の日でした。

 (名古屋市立笠寺小学校長)

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