コロナ禍の経験を通して学校・家庭・地域社会における人間関係の希薄化がより一層心配されるようになった。子どもの中にはコミュニケーションがうまく取れずに悩む姿もみられる。
このような状況において、子どもが1日の大半を過ごす学級は、互いに関わり合い、認め合うことで安心感を与えることができる心理的安全性が保障される場となることが求められている。
そこで、本校では2022年度から、授業と常時活動、縦割り活動、行事などの関連を図りながら、温かな学年・学級づくりを通して、互いに関わり合い、認め合える子どもを育てることを最上位目標としている。学年・学級を素敵な居場所にしていくとともに、誰もが居心地がよく、一人一人が存在感を発揮しながら前向きに日々を過ごすことができるようにしていきたい。具体的には年度初めに、名古屋市教育センターHPからダウンロードできる「学級経営カリマネシート」を活用していくことにした。互いに関わり合い、認め合える子どもの具体的な姿や実践の場、日常生活での取り組みなど(道徳、学活、朝の会など)を学年で話し合って決めていった。
その後、各学級ごとに、「学級経営カリマネシート」を記入し、年間の見通しをもって、実践に取り組んでいった。
「5年〇組として目指すべき姿を考える」として学級活動を行った。子どもが考えたキャラクターたちが登場する架空の学級の困り事を解決するためのアドバイスを考えるという内容で行った。「言いたいことが言えない」「失敗を恐れて言うことをやめる」といった内容の状況に対して、課題を解決するための方法をグループで議論し合った。その授業で、その架空の学級と今の本学級が抱えている課題が同じであることを伝えた。「間違えても優しい言葉掛けをして励ます」などのアイデアが出され、実行していくことになった。「クラスの中で自分がミスや失敗をすると、他の友達から非難されたり、強く指摘されたりすると思いますか?」というアンケートに対して、「思わない」と答えた子どもは年度当初24人中5人であったのに対し、今回は14人が「思わない」と答えることができた。
学級・学年での活動だけではなく縦割り活動が本校の特色である。実社会を想定した異年齢活動の意義は大きい。どの場面でも「自分がされて嫌なことは絶対に人にしない、言わない」をモットーに、今後も素敵な居場所・八熊小を築いていくための実践を積み重ねていきたい。
(文責・出井伸宏校長、執筆・松野雄仁郎教諭)