【先輩からのとっておきアドバイス】 障害のある子供への対応

【先輩からのとっておきアドバイス】 障害のある子供への対応
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Q 小学1年生の担任をしています。私のクラスに授業中に座っていられなくて立ち歩いたり、友達にすぐ手を出してしまったりする子供がいます。時々、パニックを起こして叫ぶこともあります。就学前、発達障害があると指摘されたこともあります。障害のある子供にどのように対応したらよいのか悩んでいます。(E、男性、教師歴3年)

A 発達の凸凹がある子へのご支援・ご指導、本当にお疲れさまです。国の統計では、低学年の場合、35人の学級内には支援の必要な子がおよそ4~5人在籍している、という結果が出ています。発達の凸凹さんに担任の先生が振り回されてしまうと、学級全体が落ち着かなく、不安定な状態になってしまいますね。1人で抱え込まず、必ず他の先生や四役の先生に相談しながら対応にあたってください。支援のヒントになりそうなことをいくつか挙げさせていただきます。

(1)その場での対応

 その場では、学級全体に目を向け、他の子供たちが騒いでしまわないように配慮してください。教室の外へ出て行ってしまうような場合は、職員室へ連絡をし、手の空いている教職員に対応してもらいましょう。ちょっかいがひどい場合やパニックになっている時には、いったんその場から離し、落ち着ける場所に移動しましょう。先生が大きな声で叱責(しっせき)をすることは控えてください。

(2)背景・理由を考える

 不適切行動の背景には必ず彼らなりの理由があります。そこを解きほぐさないと根本的な解決はできません。よく観察して不適切な行動をしてしまう理由を探してください。前後に起こったことを記録に残すようにすると、不適切行動の前には同じようなことが起こっていると見えてくることがあります。そこから、理由となったことを推測します。理由として多いのは、

・気になるものへの衝動が抑えられない

・集団生活が苦手で、大きな音や声を我慢できない

・予定の変更に対応することが難しい

・授業内容が分からず、他のことに気をとられてしまう

・注意をされることを極端に不快に感じる

などです。

 落ち着いたら、他の子のいない静かな場所で、本人から話を聞きます。理由を聞いても言葉で表現できないこともあるので、推測したことから、「もしかして…かな」と話すのもよいです。叱るのではなく、穏やかに伝えます。

(3)作戦を考える

 学校生活を楽しく過ごすための作戦を考えます。紙に絵や文字で描いて伝えると効果的です。また、作戦は必ず保護者とも共有するようにします。作戦を本人だけでなく、保護者と一緒に考えると良いアイデアが出ることも多いです。

 よく使う作戦には次のようなものがあります。

【教室すっきり作戦】

 気になるものにカバーをかけたり、場所を移動したりして目に入らないような工夫をします。教師用机の上も常に整理整頓です。

【安全コーナー作戦】 

 教室の一角に安全コーナーを作ったり、別室に避難することを許可し、避難する時のルールを決めたりします。教室の前の方の座席にすると、さまざまな場面で声掛けしやすくなります。

【授業見通し作戦】

 見通しを持ちやすい一日の流れや授業の流れにします。一日の流れや、予定変更をあらかじめ伝え、視覚的な手がかりを使っていつでも確認できるようにしておきます。各授業の流れも黒板の隅に書いておくと見通しが持ちやすく、安心感につながります。

 作戦は失敗しても大丈夫です。「作戦A」がうまくいかなかったら、「作戦B」を考えます。必ずその子にぴったり合う作戦があります。試行錯誤になりますが、諦めずに、その子の学びにつながる支援を見つけてください。

 (島田育恵・安城市立桜井小学校主幹教諭)

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