本校は、2021年度に県教育委員会から「愛知県健康推進学校表彰事業」の委嘱を受け、「よさを認め、互いの存在を大切にできる子」「自分の健康に関心をもち、命と体を大切にできる子」を目指す児童像とし、2つの部会を中心にして研究に取り組んできた。小規模校の本校は幼少期から友人関係が固定されやすいため、多様な価値観に触れる機会が少なく、自分に自信が持てない児童が多い。さらに、新型コロナウイルス感染症対策のため、歯磨きを学校で行わなかった結果、歯肉炎の児童が多くなった。そこで、「心づくり部会」では自己肯定感を高める取り組みを行い、「体づくり部会」では本校の歯科状況の改善を図る取り組みを行った。
「心づくり部会」では、「レッツ・エンジョイ・アクティビティズ」という活動を行った。各活動のねらいを明確化し、どの活動においても、誰もがグループのリーダー・中心になれるよう、チームで協力する活動である。活動の途中に各グループの結果を全体で共有する仕組みを取り入れた。この仕組みを取り入れたことで、他のグループが「競争相手」から、「互いに刺激し合い学び合う仲間」へと変化した。活動後には振り返りを行い、仲間のよさと自分の良いところに気付くことができた。年間を通したこの協働活動の積み重ねによって、仲間の新しい側面を見つけると共に、児童の自己肯定感を高めることができた。
「体づくり部会」では、養護教諭による専門性を生かした取り組みを行った。5年生(19年度入学生)を対象として、前年度に磨き方に課題がある前歯の「個別のブラッシング指導」を実施した。給食後の昼休みの時間に2人ペアで実施し、歯垢染め出し(前歯8本)を行った。歯垢染色の範囲によって点数を設定し(歯垢染色の範囲が半分以上0点、半分5点、染色なし10点)成果が分かりやすいようにした。また、個人ファイルの作成や口腔写真を撮影することで、自分の歯と口腔の様子を振り返り、変化を客観的に見られるようにした。そのことによって、歯垢・歯肉の状態改善を目指す丁寧なブラッシングができるようにした。そして、その内容は家庭に連絡し協力を求めた。また、歯科検診結果を受けて、児童が自分で考える内容の学校保健委員会を行った。「順番を決める」「鏡を見て磨く」などの意見が出た。現在は児童がそれを意識して歯を磨くようになった。
本研究を通して、事前事後の自己肯定感に関するアンケートを比較してみると、10%の上昇がみられた。6年生だけに絞ると、30%の上昇があり、リーダーとしての自覚につながったと考えられる。今後も、友達同士の関わりを大切にする取り組みを行っていく。口腔内の状況については、個別のブラッシング指導に取り組んだ5年生の歯科検診の結果をみてみると、軽い歯肉炎(歯肉の状態1)の児童の割合は昨年度より26・3%減少した。今後も児童一人一人に合わせ、家庭との連携を図りながら保健教育を進めていきたい。
(文責・加藤結花校長)