「学校の若い先生から、どうしたら校長先生になれますかと聞かれて驚きました」
と、市内のある校長先生が笑いながら話し掛けてきました。
詳しく聞くと、その若い教員は30歳で、学校が行う研究発表会の授業に向け、教材開発に懸命に取り組んでいる教員だということでした。
私は、若い教員が、校長先生にそんなことを聞くなんて、面白いと思いました。と同時に、その校長先生が、学校の教員をリードしてやる気にさせている様子、若い教員が憧れるくらい生き生きと学校経営に取り組んでいる様子が目に浮かんできました。
県によっては、学校経営の難しさから、管理職のなり手がいないといわれる昨今です。しかし、私の周りにはあんな校長先生になりたい、あんな校長先生になって自分も学校を引っ張りたいと思わせる管理職がいることに、安堵と希望を感じました。
私は市の校長会や教頭会で、「管理職は学校の教職員にどんな夢を持たせて、どうやる気を起こさせるのかを考えてほしい。管理職として個性と自分の教育観を持ってほしい」と常々話してきました。
学校の一人一人の先生方には、授業がうまくなりたい、学級を笑顔にしたいなどさまざまな夢があります。しかし、教育現場には困難が多々あり、夢を見失ったり挫折してやる気を欠いたりしてしまう教員が増えていることも事実です。学校の全ての教員が力を発揮できるように、管理職の先生には自分の学校の教員一人一人の夢を支え、やる気を起こさせる言葉掛けや働き掛けをどうするのかということを学校経営の柱の一つに据えて、取り組んでほしいと思います。
思い出せば、私が教員になったのは、勉強や生活に困っている子どもを助けたいという夢からでした。時間に関係なく子どもと関わり、ついやり過ぎて時に矢面に立たされてしまったこともありました。
そんな自分を、当時の校長先生や先輩の先生方は盾となって守り、応援してくれました。自分を育ててくれた先輩の先生方を忘れることはありません。
是非、管理職の先生方には、学校の教職員の夢を支え、やる気を喚起し、皆の憧れとなる人であってほしいと願います。