生成AIをはじめとする高度デジタル技術の発達により社会が急速に変化する中、子供たちの可能性を引き出す個別最適な学び、協働的な学びの一体的な充実と教育の質の向上を図る「令和の日本型学校教育」の実現が重要となっている。
こうした中、県総合教育センターでは12月1日、「子供たちの可能性を引き出す『令和の日本型学校教育』の学びの在り方」をテーマに、「第63回愛知県総合教育センター研究発表会」が同センターにおいて開催された。ウェブ会議システム(Zoom)を用いたオンライン開催とし、研究発表・研究協議を行った。
午前・午後の部それぞれ3部会、計6部会の研究発表・研究協議が行われた。各部会の研究主題と内容は次のとおりである。
「地域社会に根ざした高等学校の学校間連携・協働ネットワーク構築に関する研究(COREハイスクール・ネットワーク構想)」
中山間地域や半島の先端部に立地する高校に向けてリアルタイムで配信している遠隔授業の様子を紹介するとともに、各地域で推進している地域連携コンソーシアムの取り組みについて報告された。
今後、地域連携コンソーシアムを通じた探究的な学びと遠隔授業などの取り組みをクロスオーバーさせることで、外部教育資源の教育課程への更なる導入を推進し、小規模高校の特色化・魅力化につなげたいとまとめた。
「県立高等学校教育課程課題研究(産業教育《商業》)」
これまで研究してきた学習指導要領に準ずる「学習指導案」の作成や、場面別評価基準表を活用した「ワークシート」の作成について、実践を踏まえた成果が発表された。
また、教科横断的な学びの実現に向けた、PBL(問題解決型学習)を取り入れた先行事例の報告や「主体的・対話的で深い学びの実現に向けたOne Action」として、授業のオープン化による授業改善の一方策が提案された。
教科横断的な学び、探究的な学びの取り組みは、組織的に計画していく必要がある。今後は、商業科がリーダーシップを執り、各教科の見方・考え方が働くように工夫し、各教科の指導内容の特徴を生かしながら、学びの連動性を持たせたいとまとめた。
「県立高等学校教育課程課題研究《産業教育(家庭、看護、福祉》)」
各教科の見方・考え方を働かせ、学んだ知識やスキルを総合して活用できるパフォーマンス課題の開発や、生徒の主体的に学習に取り組む態度を育成するための指導方法と評価について研究がなされた。また、「子ども文化」「フードデザイン」「基礎看護技術」「こころとからだの理解」において、生徒に目指す資質・能力を育むための学びについての提案があった。
今後は、思考力、判断力、表現力などの育成とも併せながらスモールステップを踏み、単元の中盤から終末の時期にこれまで学んだことが生かせるパフォーマンス課題を設定するような授業計画が必要であるとまとめた。
「新学習指導要領を踏まえた学習評価の在り方に関する研究」
「指導と評価の一体化」の実現に向けた「授業マネジメントシート」および「振り返りシート」を利活用した各校での授業実践について報告された。
研究協議では、授業のヤマ場の設定や問いを充実させ、子供の学習改善、教師の指導改善に生かしていくために、「授業マネジメントシート」の活用法についての意見交換をした。
今後も、「授業マネジメントシート」と効果的な振り返りの在り方についての試行錯誤を重ね、より活用しやすいものになるように改善を図っていくためには、教師は豊かな教材研究と発問研究に努め、単元と各時の目標づくりを進めていくことが不可欠であるとまとめた。
「県立高等学校教育課程課題研究(地理歴史、公民)」
生徒の主体的な学習を促す発問を設定した授業実践と観点別評価の方法についての研究成果が報告された。
また、評価については、単元指導の計画を立てる上で、「どの場面で、どの観点を、どう評価」するべきかというテーマを設定し、単元指導計画における評価場面の精選と評価方法の開発についての取り組みが報告された。
今後は、生徒の授業における学習成果をきちんと把握し、次の授業に生かすというPDCAサイクルを今まで以上に大切にし、最終的に生徒を「自走できる学習者」にするような手だてを提供していきたいとまとめた。
「情報教育の充実に関する研究(ICT授業活用に関する研究)」
児童生徒がより主体的・対話的で深い学びへ向かう、学習者中心の学びの実践を通して、効果的な場面でのICT利活用による授業デザインや児童生徒の学びの変容などについて意見交換がなされた。
日常の学習活動にICTが溶け込んだ授業をデザインするには、どの場面やタイミングで活用するのかを精査しながら指導改善に臨む必要があり、それが児童生徒の学習改善につながるとまとめた。
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他に、「全国学力・学習状況調査に関する研究」「教育相談特別研修研究」の報告動画がYouTubeでオンデマンド配信された。
2023年12月21日から24年1月31日までを配信期間として、研究発表会をオンデマンド動画配信することとしている。