管理職研修「審査論文をどう書くか」(113)

管理職研修「審査論文をどう書くか」(113)
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テーマ

 少子化で全児童生徒数は年々減っているものの、不登校の児童生徒数は増加傾向にあります。不登校児童生徒への支援は学校教育に求められる大切な取り組みとなっています。不登校児童生徒への支援はどうあるべきか、現任校の取り組みと合わせて具体的に述べなさい。

はじめに

 学校は子どもが楽しく通い、持てる力を十分に伸ばせるところである。しかし現在、不登校の子どもへの対応は、より難しさを増し、有能なベテラン教員でさえもが日々悪戦苦闘している。成育歴や生活環境の違う子どもの実態を把握した上で、チーム学校を基盤とし、教職員が連携しつつ、協働して教育を行う環境づくりなくして事態の改善は図れない。

 そこで、教頭として校長の意をくみ、誰一人取り残さない「魅力ある学校」をつくるために、次の3つの視点から対応や具体策について述べる。

(1)組織的に対応する体制づくり(未然防止)

 まず、「学校が楽しい」と言える毎日にすべく、「未然防止」に力を注ぎたい。その上で、不登校対策委員会を定期的に開き、情報共有・協力体制づくりを行う。コーディネーターを中心に、家庭訪問をはじめとする初期対応を大切にし、新規数を抑制すれば、長期欠席者は減少すると考える。

 そのための策として現任校では、QU検査の結果分析を年間2回、確実に行っている。要支援群と予想されうる子どもを見逃さずに見守り、支援することで、新たな一人を生まないよう配慮する。

(2)魅力ある授業づくり

 未然防止につながる第一に、全ての子どもたちが「分かった」と感じる授業づくりを教員が行えることが大事である。それには、「チーム」を通じた個別最適な学びを実現するために、分からないことを聞ける人間関係をつくりだせるよう日々の授業で心掛けてもらう。その際、一律の達成目標ではなく、個々の学びの伸びを認められる授業となるよう評価を充実させるなど、教員の意識をさらに高めていきたい。

 また、私は教頭として、教務主任に指示し、子どもが安心でき、自己存在感や充実感を感じられる「居場所」をつくり出せるための個別面談・学級づくりなどの研修の充実を図りたい。そして、日々の授業や行事において、さらなる「絆づくり」ができるよう、主体的に取り組み、協働的な活動を推進できるような授業研究の場を充実させていきたい。

(3)他機関と連携する自立支援

 現任校では、自立支援の選択肢の一つとして、教室と家庭を結んだオンライン授業の活用を位置付けている。保護者の不安を取り除いたり、協力を依頼したりすることで真摯(しんし)な対応につなげたい。

 その際、学年主任や養護教諭も交えた保護者への協力依頼やスクールカウンセラーの活用など、今後の対応を担任が一人で抱え込まないようにしていく。

 さらに子どもを学校に適応させるのではなく、学校が子どもに適応するという理念のもと、教室復帰を目的としない校内フリースクール体制をさらに整備・拡充させる。

 やむを得ず欠席が続いてしまった場合は、本人と家庭の状況を改善するため、組織体制を早急に整備する。教頭として、迅速かつ適切にケース会議を開き、専門家も交えて多面的な知見から対応策を考えられるよう指示する。定期的に教育相談などの会議を開き、継続して組織で対応していく。

 また、実態を把握し、市の家庭児童課や児童相談所、ハートピアに相談したり、医療機関の受診を勧めたりして社会的自立を支援したい。

おわりに

「全ての子どもたちに光を当てる」。子どもたちの社会性を育むために、多くの教職員が熱い情熱と使命感を持ち、日々現場で尽力している。その学校組織のリーダーとして、自覚と責任をもち、子どもたちの笑顔あふれる魅力ある学校づくりに向け、校長の指導の下、教頭として教育活動の推進に全力で取り組む所存である。

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