広島経済大学准教授
最終回は、教育格差拡大を止める学校の在り方について述べ、締めくくることにしたい。 未曽有の危機に対して、学校はどのように対処すべきか。そのヒントとなる研究が、「東日本大震災の学力への影響」(国立大学法人東北大学、2014年)と題された報告書である。
6月初旬に出された文部科学省の「学びの保障」総合対策パッケージには、「学びの保障」という言葉とともに「学習保障」という言葉が出てくる。コロナ禍によって奪われた学びや学習を取り戻し、今後も学習活動をストップさせないことが、その主眼である。
前回は、オンラインの学習環境の格差について述べた。今回は、オンライン学習を進めることによって生じる格差について考える。オンライン学習と言っても、その実は双方向型授業から課題をこなすものまでさまざまだが、ここではオンライン学習の全般を視野に入れて述べる。
今回と次回は、コロナ禍で急速に需要が増大した学習のオンライン化について、教育格差の視点から考えてみたい。 まず、休校期間にどのように家庭学習が課されたか見てみよう。文部科学省から二つの時点における調査結果が公表されている。
小学校入学を教育システムの入口とするなら、出口は最終学歴と位置付けることができる。今回は、その「出口」の格差について述べてみたい。 教育を受けた後の進路の多様性を「格差」と呼ぶのは、適切ではない場合もある。しかし、高賃金や高い社会的地位を得やすい「大卒」資格獲得の可能性が、子供たちの社会経済的背景によって異なる実態があるという視点で見ると、それは教育格差の問題として捉え得る。
前回は、3密を避けた教室での学びについて、教育格差の観点から考えておきたいことを述べた。今回は、「入口」の格差について、懸念と対策を考えたい。 小学校入学時の子供たちは、他の学年にも増して、さまざまな面で違いがある。社会経済的背景(保護者の学歴・職業・収入)によってその違いが生じる限り、それは「格差」と呼んでもよいものだ。
前回まで、子供の生育環境による教育格差について述べてきた。今回は少し視点を変え、子供たちを支えてきた学校が変化を迫られていることに触れてみたい。 密閉、密集、密接。いわゆる「3密」を聞いたとき、「それって学校そのものじゃないか」と感じた。多くの教育関係者も「3密を避けようといってもどうやって?」と途方に暮れただろう。
前回は、「標準」の家庭を前提とすることの課題を述べた。今回は母子家庭に焦点を当てつつ、家庭環境の急変について考えてみたい。 6月末に発表された5月の完全失業率(季節調整値)は2.9%。近年は下がり続けていたが、コロナ流行以来、上昇を続けている。
コロナ感染拡大による休校期間中は、いつにも増して「家庭の力」が問われていた。緊急事態に学校や自治体が講じられた対策には限りがあり、「学校は何もやってくれない」という不満を抱いた保護者もいただろう。学校からもらってきた課題を子供と一緒になってやったり、追加の学習教材や学習機会を与えたりしていた保護者もいたに違いない。
コロナ流行による学校休校や経済状況の悪化によって、教育格差が拡大する。それが、多くの人が抱いている率直な見立てである。 教育格差とは、生まれた場所や家庭によって子供が受けられる教育の量や質が異なり(機会の格差)、その結果として学力や学歴に違いが生じること(結果の格差)である。
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