新潟医療福祉大学健康科学部講師。専門は比較教育学、生涯学習論
デンマークの国民学校で、「10年生」が廃止される見込みだ。デンマーク教育の特色として知られ、一人一人の生徒の発達を保障する仕組みとして好意的に紹介されてきたこともあり、衝撃的なニュースだ。その詳細と背景を探った。
近年、デンマークでも不登校の子供の増加が深刻化している。不登校は、子供や保護者、学校だけでなく、自治体にとっても喫緊の課題だ。子供のウェルビーイングの面はもちろん、財政的な負担も大きい。不登校の子供がいることで働けない保護者に、自治体が支払う補償の額が大幅に増加しているためだ。また、不登校の子供の学習を保障する方法が模索されている。
コペンハーゲン市のノアブロ地区は、多様な文化の人が集う。この地区に、緑の芝生が広がる公園がある。ベビーカーを押しながらコーヒーを飲む若い夫婦やカラフルな大型遊具で遊ぶ子供の傍らに、ベンチで寝るホームレスや、タバコを吸う中東系の若者もいる。ここは、行政によるトップダウン型の都市再開発に抵抗し続けた自治のシンボル「民衆の公園」だ。
コペンハーゲンから電車で30分ほどの郊外に、古い時代の農村部の景観が広がる。野外博物館「フリーランドムセー」だ。広大な敷地を歩いていると昔の農村にタイムスリップし、懐かしいような、素朴な豊かさを感じる。そんな野外博物館の設立背景と意図、そして現代の役割を探った。
デンマーク・コペンハーゲン市のヴェスタブロ地区には、民間のコミュニティスペース「国民の家アブサロン(以下、アブサロン)」がある。教会だった建物を改築して、2015年にオープンした。アブサロンは、「リビングのように居心地の良い場」「人々が出会い、つながる場」として多くの人々に利用されている。取り組みの特徴や工夫とともに、この場が人々から求められている背景を探った。
2020年7月、コペンハーゲンに幸福博物館(The Happiness Museum)がオープンした。この博物館は、世界各国でベストセラーとなった書籍『ヒュッゲ 365日「シンプルな幸せ」のつくり方』の著者らが設立したものだ。幸福博物館を運営する幸福研究所は、幸福度や生活の質に関する研究を行っているシンクタンクである。
人気の公立学校に進学するために、一時的に住所を変更する人たちの存在がデンマークで報道された。戦略的に制度を活用する裕福な家庭や、対策に骨を折る自治体の姿が見えてきた。
アカデミー賞を受賞したデンマーク映画『アナザーラウンド』(原題はデンマーク語でDruk=大量飲酒)では、さえない高校教師たちが、飲酒によって人生を上向きにできるかどうかを実験する顛末が描かれている。劇中にはデンマークの若者の飲酒文化も出てくる。「大酒飲みの国」として知られるデンマークの若者の飲酒事情を追った。
デンマークでは、10年ほど前から毎年6月中旬の4日間、ボンホルム島の海岸沿いの町アーリンゲで「国民の集会」というお祭りが行われている。首相や大臣、各政党の政治家、企業役員、市民団体、研究者やジャーナリスト、そして市民ら5万人以上が集まり、朝から夜まで、さまざまなテーマの議論やワークショップに参加する。今年も6月15日~17日の開催に向けて、準備が着々と進められている。
国際的に見ると、教員研修は、参加が義務付けられているか、昇任や昇給のために参加が必須となる国が多い。しかしデンマークは、その両方ともない数少ない国である。個々の教員が主体的に学べる社会として肯定的に見ることもできるが、国内の動きや調査からは別の見方も浮かび上がってくる。
デンマークの学校では、ほとんどの子どもがお弁当を持参する。典型的なお弁当は、レバーペーストなどを塗ったライ麦パンのオープンサンドイッチと果物、または野菜である。給食を公費で提供するスウェーデンやフィンランドと比べて、政府の関与はほとんどない。しかし近年、子どもの栄養や教育に関わる専門家、保護者などの間で、学校給食の導入を巡る議論が熱を帯びている。
デンマーク北西部にあるビルン市は、レゴの本社やレゴランドがある、レゴ創業の地だ。2012年に市とレゴ財団は協定を結び、官民連携による「子ども中心の街づくり」を進めている。その理念は、「ビルン市は、子どもの首都(Capital of Children)であり、子どもたちが遊びを通じて学び、創造的なグローバル市民になる」というものだ。
デンマークでは従来の「全国学力テスト」が廃止され、2026年度から新たに「全国技能テスト」が導入される。何が変わるのか。その背景は何か。....
北欧諸国の放課後活動の様子を3回に分けて紹介するこのシリーズ。第2回は、デンマークの“運動部”的活動を取り上げる。デンマークでは多くの子供たちが地域スポーツクラブに通っている。男子にはサッカーやハンドボール、女子には水泳や体操などが人気だ。地域スポーツクラブは全国に約1万6000あり、3割の国民が会員となっている。スポーツ政策の要であると同時に、社会統合の重要な立役者でもある。
人を貸し出す図書館「ヒューマンライブラリー」をご存じだろうか。障害や人種的マイノリティーなど、偏見を持たれたり、敬遠されたりしやすい立場にある人が「本」となって貸し出される。「読者」は一対一あるいは少人数でその「本」の語りに耳を傾け、対話をする特別な図書館だ。
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