埼玉県川口市立小谷場中学校事務主査
今回は、いわゆる「学級費」の話をしよう。念のため定義しておくと「主に学級で使用する物品や教材を購入するため、毎月集める1人当たり100円程度の現金」である。最初に問題点を示しておく。最大の問題は、集金が先行していることだ。保護者は用途を示されない状態でお金を学校に徴収され、年度末に執行された状態を追認することしかできない。
事務職員がPTA(Parents & Teachers Association)における「T」の立場で活動に参加しているかどうかはさまざまで、全国共通ではない。しかし、活動の適正性を担保するためにその専門性を発揮することで、負担軽減につながる話もある。念のため確認しておくが、学校とPTAは別組織であり、PTAはあくまで任意団体である。
さすがに事務職員は部活動で活躍できないでしょう !?――と思われる読者は多いだろう。しかし、会計業務なら(いや、実際に顧問として関わっている事務職員も少なくないが)分業と協業が可能である。 教育課程との関係が近からず遠からずの微妙な状態にある部活動。教職員はもちろん、事務職員ならなおさら、どこまで関わるべきかという議論はある。しかし、現に学校を基盤に活動している実態があり、改善に資する取り組みが不要とは言えない。
「コミュニティ・スクール祭り」とでも言わんばかりに、どの自治体もコミュニティ・スクールの導入を進めている。例外なく勤務校にも学校運営協議会が置かれ、わたし自身も委員として、専門分野である学校予算に関する方針や執行状況、評価を提案している。
「労働安全衛生法」という法律がある。その目的は「職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進する」だ。同法は、働き方改革が叫ばれる以前の2006年に改正され「学校教育の場でも労働安全衛生の必要性について指導を徹底すべき」という付帯決議が加えられた。
前回、業務移行はその効果を見越してすべきであり、移行する業務は事務職員が担当した方がベストな結果となるものに限定したいと述べた。教員の雑務排除をインセンティブにする業務移行には反対である。「ベストな結果」については次回以降で詳しく述べるとして、今回は「シナジー」をキーワードに、事務職員の組織化を考えたい。
第3回で述べたように、教頭や教員の仕事の一部を事務職員へ移行し、それぞれの負担を軽減させるために事務職員を活用している自治体もある。 しかし、諸外国に比べて日本の学校のノンティーチングスタッフの割合が極めて少ないことは周知の事実であり、この施策は事務職員の間でも賛否両論ある。わたしは、まだまだ担当できる業務はあると考えているが、全面的に賛成するわけではない。
言うまでもなく学校は教育活動が実施される場所だ。そして、教育の目的は「人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」(教育基本法第1条)である。その目的を達成するために、学校には校長や教頭、教諭などと共に事務職員が置かれ、その職務を「事務をつかさどる」こととしている(学校教育法第37条)。
中教審の議論に事務職員が登場する歴史は、実はそれほど古くない。初めてクローズアップされたのが1998年の答申「今後の地方教育行政の在り方について」で、前回紹介した「共同学校事務室」の前身とも言える「学校事務・業務の共同実施」が提言されたのである。これは、学校事務を効率的に執行するため、複数校を兼務させるなどして、学校事務やその業務を共同で行う施策だ。
2017年6月、松野博一文科相(当時)は中教審に「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」諮問し、学校の働き方改革はクランクインした。その答申が19年1月に示されている。
縁の下の力持ち――。これはわたしたち、学校事務職員(以下「事務職員」)を表現する言葉としてよく使われる。わたしはこの言葉が好きではない。いや、正確に言えば「事務職員だけに当てる言葉としてふさわしくない」と考えている。
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