【働き方改革のキーパーソン(5)】固定観念を見直す

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 第3回で述べたように、教頭や教員の仕事の一部を事務職員へ移行し、それぞれの負担を軽減させるために事務職員を活用している自治体もある。しかし、諸外国に比べて日本の学校のノンティーチングスタッフの割合が極めて少ないことは周知の事実であり、この施策は事務職員の間でも賛否両論ある。わたしは、まだまだ担当できる業務はあると考えているが、全面的に賛成するわけではない。

 なぜなら、ただ教頭や教員の仕事を事務職員へ右から左に流すだけでは雑用係的な感覚が否めないからだ。わたしが提案したい「仕事の移行」は、事務職員が担当する方がベストな結果となる仕事に限定したい。教頭や教員にもできる仕事だとしても、「餅は餅屋」という例えもある。実際、会計業務が分かりやすい。教科指導や生徒指導では胸を張って専門性を発揮しているにもかかわらず、会計業務になると「疎い」と言い切る教員は多い。年末調整なんて恐れるに足りぬことにもかかわらず、大病を乗り切ったかのように事務室へ提出しに来る人もいる。年末調整は個人の申請に基づくため、代筆して負担を減らすことはご法度であるが、他の会計業務は事務職員が統括的に担えばいいと考えている。

 本校の場合、公費会計はもちろん、私費会計である補助教材費の予算から集金、管理、支払い、決算までの一連を事務職員が担当している。また、生徒会費や修学旅行などの費用も同様であり、ついでに親睦会の会計まで担当している。

 実は、前任校の職員会議で「会計業務は全て事務職員が担いますよ」と提案し、拍手喝采を浴びたものの、管理職からは否定されたことがある。理由を聞くと「学級や分掌の仕事は授業(事業)計画から会計業務までの全てを担当して一人前の教員なんだ」というニュアンスの答えが返ってきた。

 はっきり言って、いつまでもそんな固定観念に浸っているから、働き方が改革できないのだとわたしは考える。まずは、いろんなことを柔軟に捉え、スポンジのように吸収できる脳にアップデートするべきだ。当たり前を疑うには、意識を変えていかなければならない。

 管理職には個々のスキルを把握し、適材適所で組織をマネジメントしていくよう望みたいが、管理職であってもマネジメントのプロではないと考えている。やはり教員は、教科指導を強みに仕事をしてほしい。教育課程の実行を支える指導計画があり、そして並行して走らせる財務計画がある。財務計画は事務職員が企画し、総合的にマネジメントしていく必要があるだろう。

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