言うまでもなく学校は教育活動が実施される場所だ。そして、教育の目的は「人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」(教育基本法第1条)である。その目的を達成するために、学校には校長や教頭、教諭などと共に事務職員が置かれ、その職務を「事務をつかさどる」こととしている(学校教育法第37条)。
では、そのつかさどるべき事務とは何であろうか。学校事務の定義はなかなか難しい。「事務職員の仕事=学校事務」ではなく、あくまで「事務職員の仕事≒学校事務」であり、中には校長や教員が担当する学校事務もある。例えば、出欠状況の確認や成績管理も学校事務ではあるが、一般的に事務職員は担当していない。
そこで参考になるのが、拙著『本当の学校事務の話をしよう』(太郎次郎社エディタス)である――と書きたいところだが、都道府県が市区町村に通知している標準職務表を参照しておこう(もちろん、拙著の方が具体的で分かりやすいことは言うまでもない)。
埼玉県を例に説明しよう。例えば、企画運営という領域では「学校事務の企画運営に関すること」や「渉外に関すること」が例示され、具体的には〈校内諸規定の制定・改廃関係事務〉〈保護者・市町村教委・関係諸機関との連絡調整〉と書かれている。また、財務領域では「予算・決算に関すること」や「物品に関すること」「施設設備に関すること」「監査・検査に関すること」が例示され、〈学校予算執行計画・差引・整理・決算関係事務〉などの具体的な内容が続く。
ほか、情報管理領域における個人情報の管理や庶務領域の就学援助、人事領域の履歴書管理や服務、給与・旅費・福利厚生領域で構成されている。
整理すると、教職員に関わる仕事(給料や諸手当、旅費の支給、福利厚生や休暇の手続き業務など)、保護者に関わる仕事(学校給食費や補助教材費の集金業務、経済的に困窮している家庭の就学を援助するための業務など)、子どもに関わる仕事(教科書を無償で届けるための手続き業務、学割や各種証明書の発行業務など)、そして教育活動を担う仕事(学校のお金を計画的・効率的に使っていく業務など)となるだろう。
このように、事務職員がつかさどるべき事務の範囲は意外と広いことを分かっていただけただろうか。次回は、働き方改革の中で、管理職や教員、もちろん事務職員も含めて、どのように意識を変えていくべきかを考えたい。