【連載】グローバル人材を育てる

 紙面に掲載した連載の初回分を紹介します。
教育新聞グローバル人材育成取材班

教育に求められるものは何か

 グローバル化が進み、学校教育でも対応が求められている。グローバル化の進展については、多様な視点で見て取ることができるが、ここではGDPとネットという面からみてみよう。

 まず、GDPのランキング。2012年、1位はアメリカ、2位は中国、わが国は続く3位である。このあと、欧米の先進国に交じって、ブラジル、ロシア、インドなどBRICsの残りの国がランクイン。このGDPの順位に企業の売上高を加味して比較するとどうなるか。24位にロイヤル・ダッチ・シェル、27位にエクソン・モービル、28位にウォルマートが入ってくる。

 トップ100の上位から4分の1をすぎたあたりから、いわゆるグローバル・カンパニーと呼ばれる企業がどんどん増えてくる。ちなみに日本企業は、トヨタ自動車50位、日本郵政が55位、NTT81位、日立製作所91位などだ。

 これらのトップ100のうち、企業は46社と半数近くになる。グローバル・カンパニーは、国家を凌駕する勢いである。

 次はネット。1991年8月6日に欧州原子核研究機構(CERN)によって、世界初のウェブページが公開された。それからまだ二十数年である。その後、ウェブページは爆発的に増えて、現在では世界にどのくらいあるか正確にはわからない。2008年に米Googleが把握したURLの数は1兆を超えたというが、毎日増え続けているので、確たる数は把握しきれない。

 SNSも、FacebookやTwitterなどの例をあげるまでもなく、こちらも飛躍的に発展し、小・中学生を含む無数の人が参加している。当然、これらネットの世界には国境はない。ウェブ上に記録された膨大な情報・知識には、誰でも、どこからでもアクセスできる。SNSでは、世界中の人とつながることができる。

 現代の小・中・高校生は、このような〝いま〟を生きており、そこを〝生き抜く力〟を学校でも育てていくことが期待されているのだ。

 現在、全国の学校現場では、グローバル人材育成を目指した多くの取り組みが展開されている。この連載は、これらの取り組みに資することができるような情報を提供していきたい。

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 学校現場では、「グローバル人材」をどのようにとらえたらいいのだろうか。

 昨年末に文科省が「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」を発表、小学校3年生から英語教育を始め、5年生から教科型にしていくことを打ち出したのは、記憶に新しい。やはり語学としては英語力なのか。

 本紙1月1日号1面では、下村博文文科大臣にグローバル対応について聞いている。その中で大臣は、次のように語った。

 「いまの子どもたちが社会人になるころには、英語で仕事をするということが常識になってくるのではないか。ただ、グローバル人材というものは、単に英語が話せればよいかというと、そうではない。いろいろな国の人間が集まる中でリーダーシップを発揮できたり、クリエーティブな能力を示すことができたり、人に対する思いやりややさしさを備えている、そのような、世界のどこに行っても通用する素養が求められる。どこに行ってもたくましく生きていける、スピリットあふれる、志の高い人材を育成していくことが大切だ」

 同じ日付の号では、この2月に中教審会長に就任した安西祐一郎日本ユネスコ国内委員会会長に同様の質問をしており、その回答は次の通りだ。

 「グローバル人材、グローバル社会とは何かということについては、人によってとらえ方がかなり異なるが、私は人、物、資金、情報が国境を越えて迅速に行き交う、そういう社会だととらえている。人材は、外国に出ていって活躍する、トップリーダーとして活躍する人材というだけではない。日本の津々浦々に押し寄せるグローバル化の波は、各地域で活動している人にも大きな影響を及ぼしていくので、地域に貢献する人材の育成、世界に出て行く人材の育成、これはもう一体として日本の人材育成としてとらえていかなくてはならない」

 語学力、コミュニケーション能力、主体性、積極性、チャレンジ精神、異文化理解力、日本人としてのアイデンティティー。これらを備えた人材の育成が求められている、ということか。