新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言で、約1カ月にわたり一部時間帯を自宅での学習とするなど、独自の対策を取った大阪市教委は、独自対策期間中における市立小中学校の、オンラインを活用した双方向通信の取り組み状況を調査し、5月26日に速報値として各学校に通知した。小中学校とも双方向型のオンライン学習活動を実施できたのは、最も多い小6、中3でも半数程度だった。
増加している外国にルーツのある高校生の支援に向けて、文科省は5月26日、「高等学校における日本語指導の在り方に関する検討会議」の初会合をオンラインで開いた。高校における日本語指導の制度化を視野に、指導体制の整備や教員の専門性の向上などを議論。10月をめどに報告書を取りまとめる。
岐阜県教委はこのほど、校則の改正手続きを明文化するよう県立学校に通知した。今後、校則が議論される際は、生徒が参加して、改正の内容だけでなく改正手順についても考えることを求めている。
東海3県で初となる公立の不登校特例校として今年4月、岐阜市に同市立草潤(そうじゅん)中学校(井上博詞校長)が、全校生徒40人を迎えて開校した。生徒が担任も登校日数も選択できるなど、さまざまな特徴的な取り組みをしており、全国的にも注目されている。開校から2カ月経った同校の様子と、今後の展望を聞いた。
新学習指導要領が全面実施となり、節目の年度を迎えた中学校現場。全日本中学校長会(全日中)の新会長に就任した、東京都板橋区立中台中学校の宮澤一則校長は「昨年度以上に校長のリーダーシップが求められるだろう」と気を引き締める。コロナ禍の教育活動、GIGAスクール構想の推進など多くの課題にどう取り組むのか、方針を聞いた。
文科省は5月26日、特別支援学校に備えるべき施設や校舎の面積などの最低基準を定めた、特別支援学校の設置基準案を公表した。6月26日までパブリックコメントを募集している。これまで国としての設置基準はなく、教室不足が深刻な特別支援学校の教育環境の改善につながると期待される。
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を巡り、萩生田光一文科相は5月26日の衆院文科委で、現在、多くの大学から接種会場としてキャンパス使用の協力の申し出が寄せられているとした上で、大学を会場とする場合、来場者の誘導などのアルバイトに入ってもらうことで学生を支援したい、との考えを明らかにした。また、教育関係者もできるだけ早く接種できるよう、優先順位を上げてもらいたいとの要望も述べた。
自民党の「孤独・孤立対策特命委員会」(委員長・松野博一元文科相)の代表らは5月24日、萩生田光一文科相と面会し、児童生徒が孤独や孤立に悩まされることがないよう、GIGAスクール構想による1人1台端末も活用して、子供がSOSを出しやすい相談体制の整備などを求める提言書を渡した。来月に閣議決定される「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太の方針)に反映するよう、政府に求めている。
国立成育医療研究センターは5月25日、コロナ禍の子供の健康状態を定期的に調べている「コロナ×こどもアンケート」の、5回目となる調査結果を公表した。子供の生活の質(QOL)が全体的に低下していることが示されたほか、この1年を振り返って、教師や大人に話し掛けたり、相談したりしづらくなっていると答えた子供が半数以上を占めた。
新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の発令に伴い、5月21日まで自宅でのプリント学習やオンライン授業を併用した独自の対策を取っていた大阪市は5月24日、通常授業に戻るのに合わせて、対策中に不足した授業時数を補う対応を取るよう、市立小中学校に通知した。
全ての5歳児に就学前教育を提供する文科省の「幼児教育スタートプラン」について、萩生田光一文科相は5月25日の閣議後会見で質疑に応じ、「5歳の1年間は、小学校に上がる前段階として同じ学びをしていただくことが、これからの義務教育に必要だと思っている」と述べ、幼稚園、保育所など施設形態の違いや経済状況などに関わらず、全ての子供が小学校就学前に質の高い教育を受けられることが重要だと強調した。
先月に宮城県や福岡県などで、校舎内外での事故が相次いだことを受け、文科省は5月25日、学校環境における工作物や機器の安全点検を実施し、学校の安全確保に万全を期すよう、全国の教育委員会などに依頼を出した。また、事故の未然防止や発生直後の対応、初期対応、詳細調査、再発防止の手順を示した文科省の「学校事故対応に関する指針」を十分に踏まえていない例が見受けられるとして、適切な対応を行うよう通知した。
日本財団パラリンピックサポートセンターは5月22日、パラリンピックの理念から共生社会の在り方を学ぶ「あすチャレ!ジュニアアカデミー」のオンライン授業を、神戸市の灘中学校・高等学校(和田孫博校長、生徒1213人)の土曜講座で行った。同市出身で、上半身の力だけでバーベルを持ち上げるパラ・パワーリフティングの選手である山本恵理さんが講師となり、中高生との対話を通して共生社会へのヒントを探った。
自民党教育再生調査会(会長・柴山昌彦前文科相)の「ウィズ・コロナ下における初等中等教育・高等教育のあり方プロジェクトチーム(PT)」は5月25日、初等中等教育段階でのいっそうのICT活用推進など「時間・財源・人材等の資源配分の見直し」を求める提言書を、萩生田光一文科相に渡した。
全国の自治体で始まっている新型コロナウイルスのワクチン接種について、福岡市の高島宗一郎市長は5月24日、市内に勤務している保育士や学校の教職員などに対して、クラスターの発生を防止するために、市独自で優先接種を実施すると発表した。同市によれば、保育士や教員を対象にしたワクチンの優先接種は日本で初めてで、市内の保育所や幼稚園、小中学校などに接種券を配布する。
教員免許更新制の抜本的な見直しを審議している中央教育審議会(中教審)の教員免許更新制小委員会は5月24日、第2回会合をオンラインで開催。文科省は席上、先の中教審答申が描いた、生涯を通じて自ら学び続ける教師の姿を実現するため、▽教師の研修受講履歴の記録・管理▽教師と任命権者等との「対話」や研修の奨励が確実に行われるための制度的な措置▽研修プログラムについて、教育委員会だけでなく、大学や民間事業者が提供するものも含めて質保証を行い、ワンストップで提供する仕組みの構築--などを論点として提示した。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、免許状更新講習の修了確認期限の延長や教員免許状の有効期間の延長といった対応が認められた昨年度、コロナを理由とした延期・延長の申請が、対象者全体の4.5%に当たる4530人からあったことが5月24日、中教審の合同会議で文科省から報告された。都道府県・政令市のうち、新型コロナウイルスによる影響が「大いに生じた」「一部に生じた」と答えた自治体は50件(74.6%)に上り、夏休みの短縮による業務多忙で、更新講習受講期間が確保できなかったなどの実態が寄せられた。
新学習指導要領への対応や大学入試改革など、これから本格的に変革の時期を迎える高校教育。コロナ禍への対応という喫緊の課題を抱えながら、この“荒波”をどう乗り越えていくのか。新たに全国高等学校長協会(全高長)の会長に就任した、東京都立小金井北高校の杉本悦郎(えつお)校長にインタビューした。
文科省は5月24日、今週木曜(27日)に実施が予定されている、今年度の全国学力・学習状況調査の参加校数(今月11日時点)を公表した。小学校1万9167校、中学校9895校の計2万9062校で、参加率は98.2%と、前回2019年度から変化はなかった。同調査は児童生徒に対する教科調査と質問紙調査、学校に対する質問紙調査からなるが、今年度は一部の国立大学附属学校(小中学校およそ100校)が児童生徒の質問紙調査を、端末を活用したオンラインで実施する。
おじいちゃん、おばあちゃんのワクチン接種を助けよう――。愛知県常滑市はこのほど、高齢者の新型コロナウイルスのワクチン接種が始まったのを受け、同市内の全中学生に向けて、ネット予約が困難な祖父母をサポートするよう呼び掛けた。各学校では、予約方法について詳しく説明したプリントを配布した。
わいせつ行為を行った教員を再び教壇に立たせないことを目指す「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律案」が、衆院文科委で5月21日、全会一致で可決された。教員免許の授与権者に「裁量的拒絶権」を与え、わいせつ行為で懲戒処分を受けた教員を事実上、再び教壇に立たせないようにする内容。25日の衆院本会議で可決された後に参院へ送られ、会期末の来月16日までに可決・成立する見通し。
GIGAスクール構想や35人学級の実現など、小学校教育は大きな変革期を迎えている。一方で教員採用倍率の低下など課題も多く、教員の在り方も今までになく問い直されている。新たに全国連合小学校長会(全連小)の会長に就任した、東京都世田谷区立下北沢小学校の大字弘一郎統括校長は、教員の仕事について「降り積もった真新しい雪の中を、一歩一歩進んでいくような仕事」と話す。「舗装された道を歩くのと違い、歩いてきた道に足跡が残る」――。
高校生がクリエイターとして人に読まれる文章表現を学ぶ出前授業が5月21日、東京都千代田区の正則学園高校(齋藤裕校長、生徒531人)で行われた。個人で記事を発信できるSNS「note」を運営するnote㈱の社員が講師となり、どういった記事のテーマやタイトルが注目されるのかを解説。情報発信や創作の面白さを伝えた。
今年1月に初めて実施された大学入学共通テストの試験問題について、大学教授らでつくる「入試改革を考える会」は5月21日、文科省で記者会見を開き、代表の大内裕和中京大教授は「共通テストは思考力を重視する問題になったとされるが、専門家から見て、センター試験に比べ、本来各教科で問われるべき思考力を試す問題にはなっていない」と批判。「以前の大学入試センター試験のように、もっとシンプルに各科目の学力を判定できる出題が必要だ」として、共通テストの出題方針を見直すよう求めた。
厚労省は5月19日、子供とその保護者の状況を毎年追跡している21世紀出生児縦断調査のうち、2010年生まれを対象に昨年実施した調査結果を公表した。現在小学4年生になる10年生まれの子供は、01年生まれの子供と比べて携帯電話の所持率やコンピューターゲームをする割合が高く、子供がゲームをする時間が長いことや身体を動かして遊ぶことが少ないことに、保護者も悩みを感じている割合が高かった。
回答者の4割超が子供への体罰を容認し、実際に半年のうちに体罰を行った養育者は3割以上という結果が、厚労省が医療系のマーケティング会社キャンサースキャンに委託して行った、子育てにおける体罰の実態調査でこのほど示された。子供への体罰禁止に対する理解が不十分な実態が、改めて浮き彫りとなった。
GIGAスクール構想で全国の小中学校に整備された端末のうち、マイクロソフトのウィンドウズ端末は、3割超のシェアを占める(同社調べ)。授業プラットフォーム「Microsoft Teams for Education(以下、チームズ)」も教育新聞のアンケートで、グーグル・クラスルーム、ロイロノート・スクールと並んで教員の支持を得た。
第72回全日本中学校長会(全日中)総会が5月20日、オンラインで開催され、新会長に東京都板橋区立中台中学校の宮澤一則校長が選出された。コロナ禍の影響を鑑み、昨年に続きZoomを活用して実施され、東京都港区にある同会事務所をホストに、全国172人の委員を遠隔で結んだ。宮澤新会長は「9000人以上いる全国の校長の周りには、約20万人の教職員、約290万人の生徒、さらにその保護者がいることを常に意識し、精一杯取り組んでいく」と抱負を語った。