宗教2世「学校関係者は新たな問題点として認識を」 永岡文科相

宗教2世「学校関係者は新たな問題点として認識を」 永岡文科相
閣議後会見で質疑に応じる永岡文科相
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 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済として浮上している、いわゆる「宗教2世」への学校の対応について、永岡桂子文科相は11月11日の閣議後会見で、「宗教2世の問題は、学校関係者にとっても、新たな問題点と認識しなければいけない」と述べ、学校関係者が宗教2世への対応に必要な知識や技能を身に付ける必要がある、との見解を明らかにした。これに先立ち、文科省は11月10日付で、学校関係者に対し、児童生徒の心のケアについてスクールソーシャルワーカー(SSW)やスクールカウンセラー(SC)と共に教育相談に取り組むことや、授業料や教育費の悩みを抱える生徒らに対して経済的支援などの相談に丁寧に応じるよう求める通知を出した。

 永岡文科相は、11月10日に開催された法務省・文科省・厚労省による「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議のとりまとめで、「関係者が十分な理解と、そして認識に基づいて適切な対応を行えるように、(国の法律相談窓口である)『法テラス』を中心として共有された知見などに基づき、研修などの機会を通じて、必要な知識と技能を身に付けることとされた」と報告。学校関係者にとっても、宗教2世の問題を新たな問題点と認識しなければならない、と述べた理由を説明した。

 これを踏まえた文科省の今後の対応については、「今後、法テラスなどの関係機関からの知見などが共有された際には、教育委員会から文科省に報告された内容も含めて、学校関係者に適宜適切な情報共有を行えるように取り組んでいきたい」と述べた。

 これに先立つ10日付の通知では、関係省庁連絡会議で▽児童生徒の心理的・福祉的支援としてSSWやSCによる支援の推進を図る▽進学の悩みを抱える児童生徒・学生への経済的支援を図る--ことが確認された、として、全ての学校設置者に対して、学校の教育相談で適切な対応を行うように求めた。

 学校における教育相談については、「宗教に関係することのみを理由として消極的な対応をすることなく、課題を抱える児童生徒の早期発見、早期支援・対応に努める」とするとともに、「法務省の人権擁護機関から情報提供を受けた場合も含めて、児童生徒の心のケアを図る必要があると考えられる事案があった場合には、学校内の関係者が情報を共有し、SCやSSWと共にチーム学校として、教育相談に取り組むこと」を改めて求めた。この内容は10月6日付通知と重なっている。

 また、都道府県・政令市の教委に対しては、学校現場のSCやSSW、24時間子供SOSダイヤルに、宗教との関わりによる相談があった場合には、文科省に報告することも求めた。

 進学に関する経済的支援では、各都道府県の高等学校等就学支援金や高校生等奨学給付金の担当部署に対し、「生徒らから、宗教との関わりに起因するものとして、授業料や授業料以外の教育費に関する相談があった場合には、法テラスから紹介された場合も含め、丁寧に対応いただきたい」と要請した。ここでも相談対応を行った場合には文科省に報告するよう求めている。

 さらに、保護者が受け取った奨学給付金を宗教法人に寄付するなど「授業料以外の教育費に使用しない恐れがあるという相談があった場合」については、高校などが代理受領するよう明記した。大学進学を希望する高校生から、経済的支援について相談があった場合には、奨学金を案内するなど生徒に寄り添った対応を行うことも求めた。

 「宗教2世」と呼ばれる子供たちに対する学校の対応について、旧統一教会の被害者救済に取り組んでいる全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の阿部克臣弁護士は、11月9日の衆議院文科部科学委員会で参考人として質疑に応じ、「現状は、学校現場の教員や学校関係者が個別に対応するなど『現場任せ』になっており、宗教問題を背景とするいじめ虐待などへの対策はとられていない、と認識している」と指摘。

 その上で「子供は自分が被害を受けていることを理解できなかったり、申し出ることができなかったりする場合が多い。周囲の大人が気付いてあげなければならないが、教員や学校関係者が気付くことができないケースがかなりある、と聞いている。いじめの背景として、宗教やカルトの問題があることをきちんと認識をした上で、対策をとることが必要と考えている」と述べた。金村龍那議員(日本維新の会)の質問に答えた。

 また、学校現場が取り組むべき対応策については「学校関係者は、2世問題による子供の被害に気付き得る立場にある。まず、専門家の研修を受けたり、被害者の話を聞いたりして、宗教やカルト問題の特色を理解していただくことが大事と考えている」と説明した。堀場幸子議員(同)の質問に答えた。

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