厚労省の人口動態統計(速報)で今年上半期(1~6月)の出生数が38万4942人と40万人を割り込んだことについて、小倉将信少子化対策担当相は9月6日の閣議後会見で、「このトレンドだと1年を通じて80万人を切ることになり、少子化の深刻さが増している」と述べ、少子化の背景となる構造的な問題などの解決に向け、来年度予算の積み増しなどを目指し対策をとっていくことを強調した。
厚労省が8月30日に公表した人口動態統計によると、今年1~6月の出生数は速報値では38万4942人で、前年同期の40万5029人から約5.0%に当たる2万87人減少した。速報値には国内に居住する外国人も含まれている。速報値から外国人を除いた概数では2021年の年間出生数は過去最少の81万1604人で、前年(84万835人)より2万9231人減少している。このままでは、今年は概数で80万人を割り込む可能性が強まってきている。
小倉担当相は「コロナ禍で妊娠出産に関して非常に不安を感じている方が多いということもあり、厚労省と連携して不安の解消に努めたい」とした上で、「それを除いても、やはり(少子化には)構造的な部分があるのではないかと思っている。繰り返し言っているように、複合的な要因で少子化は進行しているので、その一つ一つに対してしっかりと対策を打っていかなければならない」とした。
先月30日に公表したこども家庭庁の来年度予算概算要求では、少子化対策で結婚子育てに関する地方自治体への支援を充実させるとともに、結婚に伴う新生活のスタートアップに係るコストを軽減するための結婚新生活支援事業の充実(60億円)や、妊娠期から子育て期の包括的な切れ目のない支援(171億円)を計上。
低所得の妊婦に対する初回産科受診料の支援のほか、低出生体重児など多様性に配慮した分かりやすい母子保健情報の充実、母子保健事業のオンライン化・デジタル化の導入支援など、妊娠・出産・子育てをバックアップする施策を盛り込んでいる。
会見で小倉担当相は「概算要求では将来的な子供予算の倍増に向けて、大きな1歩を示していきたいということを繰り返し言っている。(額が未定の)事項要求もたくさん含まれているので、より多くの予算を積み増していけるように担当相として努力していきたい」と述べた。