静岡県牧之原市の認定こども園で3歳児が送迎バスに置き去りにされ死亡した事故で、小倉将信こども政策担当相は9月6日、閣議後の会見で、「警察などの原因究明を踏まえて、厚労省、文科省とともに必要な対応を取っていきたい」と述べ、再発防止に向けた取り組みを強化する方針を明らかにした。同様の事案は昨年に福岡県でも発生しており、国は安全対策を全国の関係機関に指示していたが、再び事故が繰り返された。
これまでの報道によると、5日午後2時過ぎ、送迎バスに「子供が取り残されていて意識がない」と通報があり、すぐに病院に運ばれたが死亡が確認された。死亡したのはこの園に通う3歳の女児。女児はこのバスに朝、通園のため乗り込み、約5時間も車内に取り残されていた。熱中症の可能性が高いとみられるという。静岡県警は6日、安全管理体制に問題がなかったか、業務上過失致死の疑いで園を家宅捜索した。
園児が送迎バスに置き去りにされて死亡する事件は昨年7月29日、福岡県中間市の私立保育園でも発生。5歳男児がバス内に約9時間にわたって放置され、熱中症で死亡している。これを受け、内閣府は同年8月25日付で文科省、厚労省と連名で、「保育所、幼稚園、認定こども園及び特別支援学校幼稚部における安全管理の徹底について」とする事務連絡を、全国の教育委員会など関係機関に向け発出。
この中で、①子供の欠席連絡などの出欠状況に関する情報について、保護者への速やかな確認および職員間における情報共有を徹底すること②登園時や散歩等の園外活動の前後等、場面の切り替わりにおける子供の人数確認について、ダブルチェックの体制をとる等して徹底すること③送迎バスを運行する場合においては、事故防止に努める観点から、運転を担当する職員の他に子供の対応ができる職員の同乗を求めることが望ましいこと、子供の乗車時及び降車時に座席や人数の確認を実施し、その内容を職員間で共有すること等に留意すること④各幼稚園等においては、「学校安全計画」「危機管理マニュアル」について、適宜見直し、必要に応じて改定すること――など、安全対策を徹底するよう指示していた。牧之原市の事故では、運転手である園長のほか、職員が同乗していたが、降車時に児童の確認を怠った可能性が指摘されている。
小倉担当相は会見で「このような指示にも関わらず、大変痛ましい事案が発生したことは痛恨の極み。5時間にわたって猛暑の中でバスに閉じ込められたお子さんの苦しみ、そして突然、大切なお子さんを亡くされた親御さんの悲しみを思うと、胸が張り裂ける思いだ」とした上で、「なぜ起こってしまったのかをしっかり把握した上で、2度と起きないように内閣府、文科省と厚労省で具体的にどのようなことができるのか、早急に検討するよう事務方に指示をした」と述べた。